共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

植物精油の吸入投与がアルツハイマー型認知症に及ぼす影響

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K01871
体系的課題番号
JP17K01871
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

現在、アルツハイマー型認知症の治療法に関して様々な分野から研究が進められているが、まだ有効な治療法は確立されていない。今回の私の申請では、日常生活の多くの場面で用いられている植物精油の吸入投与(アロマセラピー)がアルツハイマー型認知症に及ぼす影響について、モデルマウスを用いて科学的に解明することを目的とする。これにより、アルツハイマー型認知症の治療や予防に対して、植物精油の有効性が明らかになると考える。
まず、ローズマリー精油を研究の対象に選抜した。ローズマリー精油は、経験的に中枢神経系を活性化することで認知機能を改善するとされている。しかし、ローズマリー精油の効果の科学的根拠は報告されていない。そこで、アルツハイマー型認知症モデルマウスを用いて、ローズマリー精油の効果を検討した。
実験方法としては以下の通りである。マウスにローズマリー精油を吸入投与させ、次いでスコポラミンを腹腔内投与することでアルツハイマー型認知症モデルマウスを作成し、最後に認知機能を評価するために短期記憶の評価において用いられるY字迷路試験を用いて検討した。その結果、ローズマリー精油を吸入投与した当モデルマウスにおいて、自発的な交替行動率の有意な改善効果が認められた。さらに、ローズマリー精油の主要成分である1,8-シネオール、α-ピネン、β-ピネンが、吸入投与後に濃度依存的に脳内から検出された。したがって、ローズマリー精油は、吸入投与によってアルツハイマー型認知症モデルマウスに対して認知機能を改善すると考えられる。α-ピネン、1,8-シネオールなどは、脳内に移行することで直接的に影響を及ぼしていると考えられる。今後、臨床応用へ向けてローズマリー精油の詳細な研究が必要である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K01871
ID情報
  • 課題番号 : 17K01871
  • 体系的課題番号 : JP17K01871