MISC

2016年5月

メタゲノム解析による実験的in situデンタルバイオフィルム構成細菌の包括的同定

BACTERIAL ADHERENCE & BIOFILM
  • 和氣 菜々子
  • ,
  • 朝日 陽子
  • ,
  • 町 博之
  • ,
  • 野杁 由一郎
  • ,
  • 恵比須 繁之
  • ,
  • 林 美加子

29
開始ページ
125
終了ページ
129
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本バイオフィルム学会

特定の細菌を用いたin vitroモデルによって口腔環境を再現することは不可能である。そこで、我々は口腔内装置を用いたin situバイオフィルムモデルを新規に開発した。本研究では、我々が開発したモデルを用い実験的にデンタルバイオフィルムを作製し、16S rRNA遺伝子を標的としたシーケンス解析を用いて、その構成細菌を経時的に同定した。その結果、門レベルにおいて、16時間まではFirmicutes門が優勢であり、その後48時間以降にFusobacteria門およびBacteroidetes門の割合が増加した。さらに、属レベルではおよそ16時間までStreptococcus属が20%以上を占め、48時間後以降にFusobacterium属およびPorphyromonas属などの偏性嫌気性菌が優勢となり、96時間後には有意に増加した(p<0.05)。さらに、リアルタイムPCRを用いて構成細菌の経時的定量を行ったところ、全細菌量は二相性の増加傾向を示した。また、Streptococcus属は12時間までで有意に増加し、その後一定となり、Fusobacterium属に関しては経時的に増加傾向を示し96時間後で最も細菌量が多いことが分かった。本研究により、ヒトの口腔で形成した実験的デンタルバイオフィルムは通性嫌気性菌が優位であったのに対し、成熟するにつれてグラム陰性偏性嫌気性菌の割合が増加することにより、全細菌量が二相性に増加することが明らかとなった。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1348-6071
  • 医中誌Web ID : 2017010663

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