MISC

2016年5月

Porphyromonas gingivalisバイオフィルムは人工胃液耐性を有する

BACTERIAL ADHERENCE & BIOFILM
  • 山本 れいこ
  • ,
  • 野杁 由一郎
  • ,
  • 高橋 直紀
  • ,
  • 山崎 和久
  • ,
  • 恵比須 繁之
  • ,
  • 林 美加子

29
開始ページ
25
終了ページ
30
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本バイオフィルム学会

偏性嫌気性のグラム陰性桿菌であるPorphyromonas gingivalisは、ヒトの歯周ポケット全域に分布し、歯周病原性細菌の1種として重要な役割を果たしている。歯周病が糖尿病や動脈硬化などといったメタボリックシンドローム関連疾患の原因となることが、様々な疫学的調査および動物実験により明らかになっているが、疾患発症のメカニズムについては不明である。近年、新たなメカニズムとして、嚥下されたP.gingivalisが腸管の細菌叢の変化とそれに伴う代謝性内毒素血症を引き起こすことで肝臓・脂肪組織に炎症を誘導し、インスリン抵抗性を惹起することが報告された。しかしながら、宿主の胃を通過する際にP.gingivalisが生存可能であるのかについては未解明である。今回、更なる詳細なメカニズムの解明を目的として、P.gingivalis ATCC 33277株の浮遊細菌およびバイオフィルムに対する人工胃液の影響について解析を行った。浮遊細菌に対して各pHの人工胃液を作用させた結果、pH3、5ならびに7処理群ではP.gingivalisのコロニー形成が認められたが、pH1処理群ではコロニーは形成されなかった。一方、バイオフィルムではpH1の人工胃液処理群においても生菌が認められた。以上の結果より、嚥下されたP.gingivalisが生菌の状態で胃を通過し、下部消化管まで到達することが示唆された。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1348-6071
  • 医中誌Web ID : 2017010637

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