2014年
開かれた思想形成をめざす中等社会科の学習原理 ―ホルト社会科第9 学年 「比較政治システム」の概念探求過程に着目して―
岡山大学教師教育開発センター紀要
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- 巻
- 4
- 号
- 開始ページ
- 46
- 終了ページ
- 55
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.18926/CTED/52288
- 出版者・発行元
- 岡山大学教師教育開発センター
本研究は,アメリカ合衆国で1960年頃に開発された中等社会科教材ホルト社会科カリキュラムの分析から,概念探求学習の論理を解明するものである。概念探求学習の典型として,本研究では第9学年「比較政治システム」に着目し分析を行った。その結果,この教材は,当時の最新科学とされた比較政治学の成果を取り入れながらも,生徒が自らの社会と他の社会の政治制度を比較し,最終的には価値判断を通して概念を再構成させていることが明らかとなった。政治制度の比較を通してその背後にある価値を捉えさせるという学習原理は,概念探求過程が社会諸科学の成果としての理論・法則の獲得に留まるものではないことを示している。それは,むしろ概念を活用しながら,将来の社会のあり方を構想していく学習となっているのである。本研究によって,中等社会科を科学的な社会認識形成をふまえた開かれた思想形成をめざすものとして構想する手がかりを示すことができた。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.18926/CTED/52288
- ISSN : 2186-1323
- CiNii Articles ID : 120005398252