MISC

2020年8月

観血去勢後の手術部位感染により陰嚢膿瘍を形成した黒毛和種去勢牛の3例

産業動物臨床医学雑誌
  • 後藤 聡
  • ,
  • 千葉 暁子
  • ,
  • 森山 友恵
  • ,
  • 飯野 君枝
  • ,
  • 山岸 則夫

11
2
開始ページ
82
終了ページ
86
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
日本家畜臨床学会

国内の肉牛生産現場において、去勢は最も頻繁に行われる外科処置の1つである。去勢は生産性向上の観点から畜産現場で広く実施され、なかでも観血法による精巣摘出が主流とされている。今回、観血去勢後の手術部位感染(surgical site infection:SSI)により陰嚢膿瘍を形成した黒毛和種去勢牛3頭に対して、一般身体検査および超音波診断装置を用いて陰嚢や精索の形状、膿様物の有無を精査した後、外科的治療を行った。局所的な陰嚢膿瘍と診断した2例において、膿瘍は非感染部との境界が明瞭であったことから陰嚢の全切除を行った。1例において精索は膿瘍として大きく腫大したまま腹腔内深部へと連絡していたことから、陰嚢切除ならびに精索瘻による腹腔内膿瘍の排膿処置を行った。術後には継続的な精索瘻の内腔の洗浄を行い、精索の大きさは退縮、排膿の量も減少、手術後42日目には精索瘻の炎症消退と創傷収縮を認めた。いずれの症例も治癒転帰となったことから、陰嚢切除ならびに精索瘻による腹腔内膿瘍の排膿は有効な治療法であったと考えられた。今回の3例は、獣医師ならびに畜産関係者に対して、簡易外科手技である去勢術の衛生的な手技実施ならびにSSI予防対策に努めることの必要を再認識させる重要な症例であった。(著者抄録)

リンク情報
URL
https://search.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2020&ichushi_jid=J05640&link_issn=&doc_id=20200911450004&doc_link_id=10.4190%2Fjjlac.11.82&url=https%3A%2F%2Fdoi.org%2F10.4190%2Fjjlac.11.82&type=J-STAGE&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00007_3.gif
ID情報
  • ISSN : 1884-684X
  • eISSN : 2187-2805
  • 医中誌Web ID : U911450004

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