基本情報

所属
東京大学 大学院工学系研究科電気系工学専攻、工学系研究科スピントロニクス学術連携研究教育センター 教授 (センター長)
(兼任)センター長
学位
工学博士(東京大学)
工学修士(東京大学)
Bachelor of Engineering(The University of Tokyo)

J-GLOBAL ID
200901032715048920
researchmap会員ID
1000229304

外部リンク

 現在の半導体エレクトロニクスと情報・通信技術は、主にキャリア(電子、正孔)のもつ電荷輸送を用いた電子デバイスとキャリアと光子の生成消滅を用いた光デバイスによって支えられている。エレクトロニクスで使われるシリコン(Si)や化合物半導体(GaAs, InAs…)など通常の半導体では、キャリアがもつスピン(磁気モーメント)の向きはランダムであるため磁性やスピンの効果は意識されず、使われていなかった。候補者は、半導体をベースとした磁性・スピン機能をもつ様々な複合ヘテロ構造・多層膜・混晶・ナノ構造のエピタキシャル成長技術を開発し、大きなスピン依存伝導現象(スピンバルブ効果、トンネル磁気抵抗効果)や大きな磁気光学効果が、半導体をベースとした複合ヘテロ構造やナノ構造で実現されることを示した。さらに、スピン自由度を用いた新しいデバイスを提案・試作・動作実証し、「半導体スピントロニクス」という新しい分野の構築と発展に四半世紀以上にわたって大きく貢献、牽引してきた。
 現在、スピン自由度を用いた半導体エレクトロニクスの研究は、固体物理学、材料科学、電子工学、ナノテクノロジーなど理工学において大きな潮流になっている。候補者は、この状況になるかなり以前の1990年代初めに、電気的・光学的手法で磁性を変化させる新しい光・電子デバイスを提案、特許化した[第2728825号(1992年3月)]。これを契機に、以来30年以上にわたり、強磁性金属/半導体、強磁性半導体/非磁性半導体といった「磁性・スピン」と「半導体」の両機能を合わせ持つヘテロ構造やナノ構造の研究を行い、先駆的かつ重要な成果を挙げ、この分野の創造と発展に大きく貢献した。特に、良質な単結晶、原子レベルでの界面急峻性と膜厚制御性を合わせ持つ複合エピタキシャルヘテロ構造・ナノ構造を形成する技術を確立し、その物性と機能を明らかにして、スピントロニクス・デバイスの動作を実証した。さらに2010年代以降、Fe添加狭ギャップIII-V族強磁性半導体[(In,Fe)As, (Ga,Fe)Sb, (In,Fe)Sb]とその量子ヘテロ構造を創製し、室温以上の高い強磁性転移温度(キュリー温度TC)、n型とp型の両キャリアタイプの実現、磁性・スピン機能を用いた波動関数工学、近接磁気抵抗効果による巨大磁気抵抗など、従来は不可能であった画期的な機能を実現して、「強磁性半導体ルネサンス」というべき新展開を創出した。

 これまでに査読付英文論文350編以上、解説・総説論文90編以上、国際会議招待講演190件以上で発表を行っている。これらの業績により、日本応用磁気学会・武井賞(1997年)、矢崎学術賞(1999年)、丸文研究奨励賞(2002年)、日本IBM科学賞(2003年)、日本学術振興会賞(2007年)、文部科学大臣表彰科学技術賞(2012年)、応用物理学会フェロー表彰(2015年)、市村学術賞(2019年)、矢崎学術賞(2021年)、化合物半導体国際会議ISCS Quantum Devices Award(2022年)を受けた。日本学術会議連携会員(2017年-2023年)、日本学術会議会員(2023年ー)、論文誌 AIP AdvancesのExecutive Editor、AAPPS (Association of Asia Pacific Physical Societies)のCouncil Member。International Union of Pure and Applied Physics (IUPAP), Commission 8: C8 Semiconductors member (2021 October) C8 Co-Chair (2024 October)。

 本研究者を代表者とするスピントロニクス分野全体で提案した「スピントロニクス学術研究基盤と連携ネットワーク拠点 (Spintronics Research Network of Japan, Spin-RNJ)」の事業が、日本学術会議マスタープラン重点大型研究計画2014、2017、2020 および文部科学省「学術研究の大型プロジェクトの推進に関する基本構想-ロードマップ2014、2020」に厳しい競争倍率の中で連続して採択された。この構想に基づき、2016年度以降、「スピントロニクス学術連携研究教育センター」を5拠点大学(東大、東北大、阪大、京大、慶応大)に設立し、候補者は中核拠点である東京大学のセンター長を務め、全国的連携ネットワーク拠点(Spin-RNJ)についても、発足以来、代表者として主導的役割を果たしている。以上の活動実績により、2023年度日本学術会議「学術の中長期研究戦略」 、さらに文部科学省「ロードマップ2023」にも連速して採択され、高い評価を得ている。


委員歴

  129

受賞

  15

論文

  244

MISC

  420

担当経験のある科目(授業)

  17

共同研究・競争的資金等の研究課題

  55