論文

査読有り
2010年3月

自閉症スペクトラム障害児の母親の診断告知に伴う感情体験

昭和女子大学生活心理研究所紀要
  • 共著者:松永しのぶ・廣間貴子

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開始ページ
13
終了ページ
24
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
昭和女子大学生活心理研究所

目的と方法:自閉性スペクトラム障害(ASD)の子どもの家族への診断告知の実態を把握し、告知前後の母親の感情体験の特徴を明らかにすることを目的に、ASD児者の母親40名に子どもの診断告知に関する質問紙調査を実施した。ASDの平均年齢は14歳10ヶ月、男性36名、女性4名であった。
結果と考察:障害に気づいた時期の子どもの平均年齢は1歳11ヶ月であった。診断告知時の平均年齢は4歳6ヶ月であったが、現年齢が12歳以下の子どもでは3歳7ヶ月であり、告知の時期が近年早まっていることが示唆された。告知前の母親の気持ちは、「不安」「期待や希望」「疑念」「孤独感」「期待感」「覚悟」にまとめられ、告知時の気持ちは「ショックや不安」「前向きな気持ち」に大別された。告知時の説明の仕方や内容に満足できた母親は33%、納得できた母親は38%であった。18%の母親が告知後のサポートがなかったと回答していた。告知に対する満足度は、告知後のサポート件数が複数あることと関連があり、納得度は、告知時期と関連があった。告知に対する親の気持ちは、告知の時期、告知の仕方や内容、告知後のサポートによって異なることが確認された。最後に本研究の結果の臨床実践的な含意が議論された。
(担当部分概要)
第一著者の指導により第二著者が収集したデータを分析して作成した修士論文をもとに、修士論文では扱えなかったデータも含めて第一著者が再分析し、論文全体を再構成し執筆した。

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