共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2004年

国際化、情報化社会が必要とする新しい読み書き能力の範囲と内容

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
15530571
体系的課題番号
JP15530571
配分額
(総額)
3,700,000円
(直接経費)
3,700,000円

本研究は、国際化、情報化が進む社会を生きていくために、初等・中等教育段階における新たな「読み書き能力」の「範囲」と「内容」の在り方について、3つの班により研究を進めてきた。
「比較研究班」では、米、英、独、瑞、墺、リヒテンシュタイン、西、日本におけるPISA2000に対する反応とその結果を検討し、次の知見を得た。移民の多さなど生活圏による観点。性差や校種、出身国等による言語環境による観点。多くの国際比較の中にPISAをどう位置づけるかという観点。他の国内テストの中でPISAをどう位置づけるかという観点。日本ではPISA一色になってしまったが、上記のような多様な観点から冷静な分析が必要である。
「歴史研究班」では、急速に国際化、情報化が進んだ明治前期において、国語科の教育内容がいかに形成されていったかを、教科書を中心に分析した。明治中期に向け、次第に海外・沖縄/日本(内)、過去(文化)/現在(実用)、小学(普通教育)/中等(高等教育)、他学科/国語科、子供/大人、地域/全国、等の対立軸を見出すことで、教育内容の整理が進んだ。今日の国語科でも、こうした新たな対立軸をいかに見出すかが重要である。
「パブリケーションを核とした教育班」の研究成果は、本研究全体にとって示唆的な内容と言える。国際化、情報化を急速に進めたインターネット発祥の地アメリカでは、新たなリテラシー教育として、小中学校では「読者」を意識したグループによる作文学習、大学では幅広い読者に対応するためのチューターによる文章技術の指導が進められている。国際化、情報化における不特定多数の読者を意識した新しい学習システムとして、日本のリテラシー教育に示唆する点が大きい。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15530571
ID情報
  • 課題番号 : 15530571
  • 体系的課題番号 : JP15530571