2017年3月18日
トレイルランレースが酸化ストレスにおよぼす影響
第169回日本体力医学会関東地方会
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 口頭発表(一般)
トレイルランに対する酸化ストレスの変動は、これまでに十分なデータが集積されていないことから、富士山での実地踏査を行い、酸化ストレスパラメータの変動を評価した。日本代表クラスの男性トレイルラン競技者6名を対象に,富士山御殿場口五合目から八合目を往復するレイルラン模擬レース前後に採血を行い、血漿ヒドロキシラジカル生成量、血清尿酸濃度ならびに血清d-ROMs濃度を測定した。血清LD濃度およびCK濃度はレース前後で上昇し(p<0.05)、このレースが筋損傷をともなう高い強度であったことが確認された。ラン前後でd-ROMs濃度に差は認められなかったが、ヒドロキシラジカル生成量は、八合目到着時で低下、帰着後には上昇し(いずれもp<0.05)ほぼ前値に復した。以上のように、低圧低酸素環境の高負荷運動によって、酸化ストレスは大きく上昇しないことが示され、これは、登坂中の抗酸化力の上昇に起因するものと考えられた。