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査読有り
2016年2月

ラット皮下組織における4-META含有レジン系シーラーの生体親和性

日本歯科保存学雑誌
  • 枝並 直樹
  • ,
  • 重谷 佳見
  • ,
  • 吉羽 邦彦
  • ,
  • 日向 剛
  • ,
  • 吉羽 永子
  • ,
  • 興地 隆史

59
1
開始ページ
65
終了ページ
73
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.11471/shikahozon.59.65
出版者・発行元
(NPO)日本歯科保存学会

目的:近年注目されている接着性レジンシーラーは根管壁象牙質への接着性が謳われる一方で,再根管治療時の除去が困難となることが懸念されている.そこで,比較的容易に除去可能な4-META含有レジンシーラー(メタシールSoft)が開発されたが,その生体親和性についての知見は十分とはいえない.本研究では,同シーラーをラット背部皮下に埋入後,局所に浸潤する炎症性細胞の分布密度を免疫組織化学的に定量することにより,生体親和性を評価した.材料と方法:被験レジン系シーラーとしてメタシールSoft,対照材料としてエポキシレジン系シーラー(AHプラス)および酸化亜鉛ユージノール系シーラー(キャナルス)を使用した.滅菌PTFEチューブに練和したシーラーを填入し,ただちに4週齢Wistar系雄性ラット(各観察期間ともn=5)の背部皮下組織内に埋入した.コントロールとしてシーラーを填入していない滅菌PTFEチューブを用いた.7,14,28日後に皮下組織を切り出し,4%パラホルムアルデヒド溶液で24時間浸漬固定し,凍結切片を作成後,H-E染色による組織学的観察を行うとともに,マクロファージ,好中球の局在についてそれぞれCD68,CD43を一次抗体として酵素抗体染色を行い観察した.さらに,チューブ開口部と接する組織内における陽性細胞の密度を求め,統計学的に分析した(一元配置分散分析およびBonferroni Dunn検定,α=0.05).結果:H-E染色では,すべての実験群において,7日経過例でチューブ開口部を中心とした炎症性細胞の浸潤が認められたが,時間の経過とともに炎症性細胞は減少し,線維組織による被包が観察された.メタシールSoft群ではシーラーの溢出がしばしば組織内に観察され,28日経過例においてもその残存が認められた.定量解析の結果,CD68陽性細胞については7日経過例でキャナルス群がコントロール群より有意に高い値を示したが,14,28日経過例においては各群間で有意差は認めなかった.CD43陽性細胞については,7,14日経過例でメタシールSoft群がキャナルス群より有意に低い値を示した.28日経過例では,各群間で有意差は認めなかった.結論:ラット皮下結合組織においては,4-META含有レジン系シーラーは酸化亜鉛ユージノール系シーラーと比較して,軽微な好中球浸潤を誘発することが示された.(著者抄録)

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.11471/shikahozon.59.65
URL
https://search.jamas.or.jp/index.php?module=Default&action=Link&pub_year=2016&ichushi_jid=J01092&link_issn=&doc_id=20160314250008&doc_link_id=130005129174&url=http%3A%2F%2Fci.nii.ac.jp%2Fnaid%2F130005129174&type=CiNii&icon=https%3A%2F%2Fjk04.jamas.or.jp%2Ficon%2F00003_1.gif
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ID情報
  • DOI : 10.11471/shikahozon.59.65
  • ISSN : 0387-2343
  • eISSN : 2188-0808
  • 医中誌Web ID : 2016222769

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