共同研究・競争的資金等の研究課題

2007年 - 2008年

歯内歯周疾患の病態形成機序-新規疾患モデルを用いた樹状細胞の動態解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究  萌芽研究

課題番号
19659496
体系的課題番号
JP19659496
配分額
(総額)
3,200,000円
(直接経費)
3,200,000円

樹状細胞は生体内で最も有力な抗原提示細胞であり、この機能を通じて外来抗原刺激に対する免疫応答の発動と質の決定という重要な役割を演じる。これらの細胞が根分岐部における生体防御機構の発動様式の特異性に密接に関連すると推定されるが、根分岐部病変に対する適切な動物モデルは現在まで開発されておらず、根分岐部歯根膜で営まれる免疫防御機構の実態は不明のままである。本研究ではこの点に着目し、新たな実験的根分岐部病変誘発法を採用し、樹状細胞を中心とする各種免疫担当細胞の動態の検索を通じて根分岐部病変の成立・持続過程で営まれる免疫機構の解明をはかることを目的とするものである。
本年度は先ず、ラット臼歯歯根膜の種々の部位(根分岐部,根尖部,近心側,遠心側)における抗原提示細胞の成熟度,活性化度の相違を検索することを目的として,major histocompatibility complex(MHC)クラスII分子,CD86,CD83およびToll-like receptor(TLR)4のmRNA発現をリアルタイムPCR法を用いて定量解析した.その結果,全ての検索対象遺伝子とも、最も口腔環境に近接した部位である根分岐部において発現レベルが著明に高く,根尖部においては低レベルであった.従って、ラット正常歯根膜の各部位には,細菌刺激の多寡などの微小環境の相違に応じて、成熟度,活性化度の異なる抗原提示細胞が存在することが示唆された.さらに、ラット臼歯を1日間露髄開放し,正常時と露髄開放後の分岐部歯根膜における上記mRNA発現をリアルタイムPCR法を用いて定量,比較したところ,各遺伝子とも開放1日経過後で有意に増加した.従って、ラット臼歯の根分岐部歯根膜に存在する抗原提示細胞が,歯髄の感染に起因する細菌刺激侵襲に応じて,速やかに成熟度や活性化度を増加させることが示唆された.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19659496
ID情報
  • 課題番号 : 19659496
  • 体系的課題番号 : JP19659496