共同研究・競争的資金等の研究課題

2014年 - 2017年

地域住民と大学、看護学生による、がん患者と家族を地域で支えるシステムの構築

学術振興会補助金  基盤C  

担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

H29年度はH28年度に実施した調査の分析を深め、第6回日本公衆衛生看護学会学術集会での発表を行った。因子間の調整等の詳細な分析を行った結果、主要な結果は次の通りである。有効回答は1392部(28.2%)であった。家族や身内にがんになった者がいる割合は全体の82%であり、がんが一般住民にとって大変身近な疾患であることが明らかとなった。がん未経験者は、がんになった際の治療方針を医師と相談するとしていたが、一方、がん経験者は医師に一任した者が有意に多かった。年齢や性別を考慮しても同様の結果が得られたことから、インフォームドコンセント等の概念は一般に浸透しているものの、医療現場においては患者自身の意思決定はまだまだ困難な状態であることが示唆された。また、がん未経験者は、経験者よりがんを怖いと思う、がんになると生活における楽しみは減ると答えたものが有意に多い結果をを示しており、年齢別に行った分析でも同様の結果が得られた。がん未経験者はがんに対し否定的なイメージを持っており、このことががんに罹患した時に、実際の身体的侵襲以上に精神的なストレスや不安を抱える要因になっていることが考えられた。このことよりがんの正しい理解を目的としたがん教育の必要性が示唆された。現在はこの内容について論文執筆を進めるとともに、この結果を元にした住民学習会の準備を行い、地域住民に対する学習会開催のためのがん患者支援団体への協力依頼を実施し了承を得ている。