2008年
豚ぷんコンポスト施用土壌におけるアーバスキュラー菌根菌の接種および木炭の施用がトウモロコシの亜鉛と銅の吸収に及ぼす影響 -MIDIシステムを用いた土壌中の菌根菌プロパギュールの測定-
日本土壌肥料学雑誌
- ,
- 巻
- 79
- 号
- 3
- 開始ページ
- 255
- 終了ページ
- 262
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.20710/dojo.79.3_255
- 出版者・発行元
- 日本土壌肥料學會
AM菌の接種および木炭の施用が豚ぷんコンポストに由来するZnとCuの作物吸収と地上部への移行に及ぼす影響を検証するため,トウモロコシを用いてポット試験を行った.またMIDIシステムを用いて土壌脂肪酸を分析し,AM菌のプロパギュール測定における有効性を考察した.前年に豚ぷんコンポストを施用した土壌に木炭施用の有無およびAM菌(Glomus etunicatumおよびGlomus sp.CB0301)接種の有無により6栽培試験区を設けた.その結果,以下のことが明らかとなった.1)各試験区のZnとCuの土壌含有量は試験開始時と試験終了時との間に顕著な差はなく,作物吸収,AM菌接種および木炭施用による減少は確認できなかった.2)作物のZn含有率は木炭施用の有無にかかわらずAM菌を接種した作物体地上部で顕著に増大(26〜42%)した.一方,Cuの地上部への移行は少なかった.3)MIDIシステムを用いた土壌脂肪酸分析においてAM菌特異的脂肪酸である16:1ω5をはじめ各種脂肪酸の検出および定量が可能であった.4)土壌中の脂肪酸はAM菌を接種した試験区でより多くの種類が検出され,AM菌に特異的な16:1ω5の含有割合が最も高かった.また,土壌中の脂肪酸含有量はGlomus sp.CB0301接種区で顕著に増大し,AM菌の接種と木炭の施用を同時に行った試験区で更に増大した.5)木炭施用がトウモロコシの菌根形成に及ぼす影響は不明確であったが,土壌では16:1ω5量およびAM菌胞子数の間に有意な正の相関関係があった.以上の結果より,AM菌は宿主植物への豚ぷんコンポスト由来のZn供給を促進すること,また木炭施用は宿主における菌根形成の促進よりも,土壌中におけるAM菌プロパギュールの増殖(外生菌糸や胞子のバイオマスの増加)に寄与することが考えられた.また,MIDIシステムを用いた土壌脂肪酸の分析がAM菌のプロパギュールの測定に有効であることが明らかとなった.
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- ID情報
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- DOI : 10.20710/dojo.79.3_255
- ISSN : 0029-0610
- CiNii Articles ID : 110007328407
- CiNii Books ID : AN00195767