共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2025年3月

渦糸状態からの多軌道電子系超伝導の物性解明の理論研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
21K03471
体系的課題番号
JP21K03471
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

鉄系超伝導体FeSe の2回対称なネマティック超伝導の渦糸状態を主な対象とし、多軌道電子系超伝導における磁場下の渦糸状態での物性を解明することを目的に、超伝導渦糸状態の空間構造と物性について定量的理論計算を実施する手法の開発を進めている。超伝導渦糸状態の空間構造と物理量の理論計算手法は、これまで独自に開発してきた渦糸格子でのEilenberger 理論計算をベースにして研究を進め、この手法の中でネマティック超伝導の特徴を考慮できるように発展させている。これまで我々の研究グループの超伝導渦糸状態についての研究の多くは、等方的フェルミ面上の異方的超伝導ギャップの場合の理論計算により進めてきたが、本研究ではフェルミ面構造やフェルミ速度が二回対称な異方性を持つ場合での渦糸状態の空間構造と物性への2回対称性の影響についての定量的評価も進めている。本研究初年度は、フェルミ面構造の異方性を異方的質量モデルの分散関係による楕円型フェルミ面でモデル化し、超伝導ギャップが二回対称な異方的な場合と、フェルミ面構造が二回対称な異方的な場合、それに両者が組み合わさった場合について、渦糸芯周りの超伝導秩序変数や電流分布、局所電子状態の空間構造を理論計算し、渦糸芯の2回対称な構造がどのように影響を受けるかの解明を進めている。また、この研究を発展させ、理論研究で用いるフェルミ面構造に関しては、鉄系超伝導体FeSe の電子状態についての10軌道tight-binding モデルから出発して得られるネマティック電子状態のホールフェルミ面を用い、超伝導異方性に関しては角度分解光電子分光実験から得られたフェルミ面上の超伝導ギャップ異方性を用いて、渦糸状態の空間構造についての理論計算を行い、走査型トンネル顕微鏡で観測された渦糸像と比較してネマティック超伝導の効果を解明する研究も進めている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K03471
ID情報
  • 課題番号 : 21K03471
  • 体系的課題番号 : JP21K03471