Research Projects

2004 - 2006

磁束渦糸状態から探る非従来型超伝導体の物性

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

Grant number
16740202
Japan Grant Number (JGN)
JP16740202
Grant amount
(Total)
3,100,000 Japanese Yen
(Direct funding)
3,100,000 Japanese Yen

重い電子系などの超伝導磁束渦糸状態の物性を理解する上でパウリ常磁性効果による超伝導対破壊の効果をきちんと考慮に入れて計算する必要がある。このため今年度は、超伝導異方性に加え、パウリ常磁性効果による対破壊効果も考慮した磁束渦糸状態の理論計算を行い、磁束渦糸状態の空間構造、磁場依存性・温度依存性におけるパウリ常磁性効果の影響を超伝導異方性の効果とともに明らかにする研究を行った。磁束渦糸状態での常磁性効果が実際の超伝導体で現れていることを検証するため、常磁性帯磁率や磁化の磁場変化などの基本的な物理量に加え、NMRのスペクトルや中性子散乱強度などの物理量を計算することにより、どのように常磁性効果が現れるべきかを解明する計算を実施し、CeCoIn_5やTmNi_2B_2Cなどの実験データを例にして常磁性効果の大きさが評価できることを示した。これらの成果は論文投稿準備中である。また、パウリ常磁性効果と関連した興味深い超伝導状態として、CeCoIn_5で発見されたFFLO(Fulde-Ferrell-Larkin-Ovchinikov)状態についても、NMRスペクトルなどの実験に対応した微視的理論計算を行い、その磁場温度依存性などFFLO磁束渦糸状態の性質について議論した。
一方、多成分超伝導オーダーパラメーターの系における特異な磁束渦糸状態の静的・動的性質についてのシミュレーション研究も、引き続き実施している。今年度は、非磁性不純物の周りの自発電流の空間構造や、ナノ構造超伝導体での超伝導空間構造・磁束渦糸構造に注目し、その中で、多成分超伝導体であることによる特異な振舞いを明らかにする研究を行った。特に、超伝導体に穴を開けてリング状にした系を考え、オーダーパラメーターの空間構造の磁場変化や転移温度の振舞いなど、多成分超伝導体でのリトルパークス効果の特異な様子を確かめる研究を進めている。

Link information
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16740202
ID information
  • Grant number : 16740202
  • Japan Grant Number (JGN) : JP16740202