共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

欠失EBVによるリンパ腫発生機構の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H03493
体系的課題番号
JP20H03493
配分額
(総額)
17,680,000円
(直接経費)
13,600,000円
(間接経費)
4,080,000円

Epstein-Barr virus (EBV) は、ほとんどの成人に感染している普遍的なウイルスである一方、様々なリンパ腫/上皮系腫瘍の原因ともなる。我々は最近、慢性活動性EBウイルス感染症に対して、次世代シーケンサーを用いた網羅的遺伝子解析を行い、高率にEBV遺伝子の一部が欠失していることを発見した。これまでの予備実験により、共通する複数の欠失遺伝子が、ある種のEBV関連リンパ腫に高頻度に認められることを見出している。本研究では、疾患に特有の欠失遺伝子をノックアウトした変異ウイルスを作成し、培養細胞を用いたin vitroおよびヒト化マウスを用いたin vivoモデルにより、ゲノム欠失の役割を解明することを目指している。
初年度は、先行研究にて欠損頻度の高かったC promoter (Cp)の意義を明らかにするために、Cp欠損株を作成し、Cp欠損により効率的にB細胞の形質転換を引き起こすこと、免疫不全マウスを用いたin vivoリンパモデルでリンパ増殖性疾患の進行が早まることを明らかにした。
二年目にあたる本年度は、EBV陽性バーキットリンパ腫で時に見られるEBNA2欠損についての解析を試みた。EBNA2を欠損したEBVをB細胞に感染させたところ、RNAseqにより免疫チェックポイント分子である宿主PD-L1の発現が減弱することを見出した。さらに、PD-L1の発現はEBV溶解感染を誘導し、NFκB、MAPK, AKT経路を活性化させ、EBNA2の欠損はこれらの発現を減弱させることを確認した。以上より、EBVはEBNA2の発現を介してPD-L1を誘導し、免疫回避を行っていることが推測された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H03493
ID情報
  • 課題番号 : 20H03493
  • 体系的課題番号 : JP20H03493