共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年10月 - 2010年3月

脱植民地期オセアニアの多文化的公共圏の比較研究

国立民族学博物館  国内共同研究  
  • 柄木田康之

資金種別
競争的資金

本研究はオセアニアの国家と市民社会の間に見られる文化的重層および乖離関係を理論化することを目的とする。 オセアニア諸国家は,多文化的植民地接触の結果として成立し,国家間システムによって維持されている一方,市民社会としてのありかたは多様である。本研究はオセアニアの国家と市民社会の研究という目的のため,ふたつの課題を設定する。第一は,国家間システムによって維持されるオセアニアの国家が,領域内のモザイク的生活世界と接合する公共圏の構造を明らかにすることである。第二は,国土の狭小隔離性のために,生活基盤を領域外に求める移民と母社会の間の社会関係によって維持される脱領域的公共圏の特質を明らかにすることである。 この二点を明らかにすることで,本研究は公共圏概念を,複数の生活世界が接合するコミュニケーションの場,つまり多文化的公共圏へと拡張する。