共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年 - 2002年

エンドトキシン病態における薬物の生体膜輸送機能とその生理的役割の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
13672417
体系的課題番号
JP13672417
配分額
(総額)
3,600,000円
(直接経費)
3,600,000円

本研究では、エンドトキシン病態における薬物の生体膜輸送機能とその生理的役割を解明することを目的として、各種モデル薬物を用いてin vitroおよびin vivoにて検討したところ以下の成績が得られた。
1.エンドトキシンにより惹起される肝薬物代謝酵素(CYP)量および蛋白発現量(CYP3A2およびCYP2C11)の低下に対するTNF-α、IL-1およびPAFの関与は低いことが明らかになった。
2.キノロン系抗菌薬は、ドキソルビシンのP糖蛋白質依存性多剤耐性がん細胞外への排出を阻害すること、キノロン系抗菌薬の胆汁排泄機構にMrp2とP糖蛋白質の輸送系が介在することが明らかになった。
3.エンドトキシンはキノロン系抗菌薬のグルクロン酸抱合能に影響を与えないが、そのグルクロン酸抱合体の主要なトランスポーターであるMrp2を介する胆汁排泄速度を低下することに加え、P糖蛋白質を介する胆汁排泄能をも低下させることが明らかになった。
4.エンドトキシンは投与6時間後に、腎尿細管上皮細胞に存在するP糖蛋白質をコードするMdrlaのmRNAの発現を低下させることによってP糖蛋白質の基質薬物の腎尿細管分泌能を低下させるが、24時間後にはMdrlaのmRNAの発現を変化させることなく、基質薬物の尿細管分泌能に影響を与えないことが明らかになった。また、6時間後に観察されたmRNAの発現低下にはTNF-αが一部関与していることが明らかになった。
5.マウスを用いた実験で、エンドトキシンは血液脳関門に対して病理組織学的変化を与えないことに加え、薬物の血液脳関門透過性を制御しているP糖蛋白質の機能および発現量にも影響を与えないことが明らかになった。
6.マウスのエンドトキシン血症モデルと出血性大腸菌O157感染症モデルにおける血液脳関門の機能およびP糖蛋白質発現量の違いについて検討したところ、後者において病理組織形態およびP糖蛋白質発現量に顕著な差が認められた。この原因として、病態によるサイトカイン類の産生量の差が起因することが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13672417
ID情報
  • 課題番号 : 13672417
  • 体系的課題番号 : JP13672417