共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

過酸化水素・オゾンの発生・分解システムの低環境負荷的分離分析への展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16K05818
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円

本年度は、複数の金属を含むランタン共沈からの過酸化水素水溶離時の溶出金属の選択性について調査した。共沈担体としての硝酸ランタンを含む溶液に、金属標準液、金属塩試薬から調製したAl, Ca, Cu, Fe, K, Mn, Mo, Mg, P,V, W, Znを適宜希釈して添加し、アンモニアを添加して水酸化ランタンの沈殿を形成させた。沈殿をろ過後、沈殿を回収したろ紙上にH2O2ーNaOH水溶液を添加し、溶離液中の金属濃度をICP-AESにより定量した。
その結果、溶離液中にMo, V, W, Al以外はほとんど検出されなかった。溶離されたMo, V, Wについてはペルオキソ錯体の形成が寄与しているものと思われる。Alについては水酸化物がアンモニア存在下で難溶性であることと、両性金属であることから、共沈殿相へ移行した後、溶離液の塩基性条件下で液相へ溶出したものと考えられる。Znも同様に両性金属であるが今回の条件下では溶離液中でほとんど検出されなかった。これは、Znが共沈していないこと(Znーアンミン錯体として溶液相で安定)に起因しているものと思われる。さらに、VとMo, Wを分離できる条件を見出しつつある。Vについては、H2O2ーNaOH系において、NaOH低濃度条件ではほとんど溶出せず、一方Mo, Wについては低濃度でも溶出した。このことは、ランタン固相に対する親和性に相関することが考えられるが、その機構については現在調査中である。このことは、複数の金属を含む溶液からのVの単離につながる知見である。V, Mo, Wの溶出率については、最大で50%前後にとどまっており、沈殿と溶離液の接触時間を増加させる条件の探索、溶離液量の最適化を行う必要があるものと思われる。

ID情報
  • 課題番号 : 16K05818