基本情報

所属
和歌山県立医科大学 解剖学第一講座 教授
学位
博士(医学)(1995年5月 東京大学)

連絡先
ykanaiwakayama-med.ac.jp
ORCID ID
 https://orcid.org/0000-0002-0375-6853
J-GLOBAL ID
200901073057900925
researchmap会員ID
1000255215

外部リンク

 血糖値が膵臓でモニターされインスリンやグルカゴンによって適正なレベルに維持されることは広く知られていますが、血中脂肪(中性脂肪・脂肪酸)を適切なレベルに維持するための臓器やホルモンは知られていませんでした。

 私たちは、血中脂肪が増加すると血中エストロゲンが増加し、それが胃由来のエストロゲンの分泌の増加によるものであることを見いだしました。エストロゲンは性周期の調節以外にも、摂食行動、脂肪合成、脂肪の血中への放出を抑制し、脂肪の蓄積・消費を促進することが知られており、これらはすべて血中脂肪を減少させる作用があります。私たちはこれらのことから「血中脂肪が増加すると胃からのエストロゲン分泌が増加し、その結果血中への脂肪供給を抑えると共に、血中脂肪の消費や脂肪組織への回収を促進することで血中脂肪を減少させる」というモデルを提唱し、現在さらなる検証を行なっています。

 エストロゲンを「生殖に関わる」ホルモンとしてではなく、「高くなった血中脂肪を下げる」ホルモンと見方を変えることで、エストロゲンが関わる様々な病態、例えば閉経後の高脂血症や腎不全リスクの増加(血中エストロゲンが減ることで体が血中脂肪が減ったと誤認して血中脂肪を増やすとともに血中脂肪の消費を抑制する)、栄養失調時の生理停止(心臓が使う血中脂肪が低下している状態において生理によるエストロゲン分泌を止めることで更なる血中脂肪低下を防ぐ)などが説明可能となります。さらに、インスリン分泌異常が糖尿病の原因となるように、胃エストロゲン分泌低下が高脂血症の原因の一つになりえるため、「高脂血症」の分類に「胃エストロゲン分泌低下性高脂血症」が加わる可能性もあります。 私たちの研究に興味のある方はぜひご連絡ください。


学歴

  4

委員歴

  3

論文

  31

MISC

  18

書籍等出版物

  2

講演・口頭発表等

  13

担当経験のある科目(授業)

  9

共同研究・競争的資金等の研究課題

  9

学術貢献活動

  8

社会貢献活動

  6

メディア報道

  5