共同研究・競争的資金等の研究課題

2007年 - 2007年

配向制御された鉄白金ナノ粒子を用いたスピン素子の開発

日本学術振興会  科学研究費補助金 萌芽研究  萌芽研究

課題番号
19651052
体系的課題番号
JP19651052
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

研究内容:本研究の目的は強磁性を持つ鉄白金ナノ粒子を用いて巨大磁気抵抗効果を示すデバイスを探索することである。実際、本研究に先立って行っていた研究において、ナノ粒子を介した伝導が巨大磁気抵抗効果を示すという萌芽的な成果を得ていたため、この原因解明と素子への応用を目指して研究を開始した。
具体的内容:実験手法は、直径6nmの鉄白金ナノ粒子を強磁性ナノ電極間に挟みこみ、その伝導を測るものである。再現実験を繰り返した結果、ナノ粒子を用いず、半導体シリコン基板を介する伝導だけでも、巨大な磁気抵抗効果を示すことが徐々に明らかになってきた。磁気抵抗比としては、400万%というものであり、これまでに知られている磁気抵抗効果の中でも最大級である。非磁性であるシリコンを介した伝導において、このような非常に大きい磁気抵抗効果が生じることは驚くべきことである。そのような伝導が生じる原因として、(1)シリコンそのものの性質あるいは(2)シリコンと電極の界面の電子状態、という二つが考えられる。まず(1)の可能性について検討するために、ホール測定を行い、キャリア数を見積もった。その結果、異常な磁気抵抗効果が起きる状態においても、キャリア数に特別な異常は見出されなかった。このことは、原因がシリコン自体にある、という仮説にとって否定的な結果である。今後は、シリコンと金属界面の状態が磁場に対してどのように変化するかを明らかにするための実験を行う予定である。
本研究の意義と重要性:シリコン金属接合系において、これまでに知られていなかった巨大な磁気抵抗効果を見出したことに本研究の最大の意義と重要性がある。この現象は、現時点では未解明であり、新規な伝導メカニズムが関わっている可能性が高い。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19651052
ID情報
  • 課題番号 : 19651052
  • 体系的課題番号 : JP19651052