共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2022年3月

多種類の微量汚染物質を高感度検出するバイオアッセイ法の開発とアジア地域への展開

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(B)

課題番号
18H01668
体系的課題番号
JP18H01668
配分額
(総額)
15,990,000円
(直接経費)
12,300,000円
(間接経費)
3,690,000円

本課題の目的は、広範な生物応答を指標に、多種多様な微量汚染物質を高感度検出する多種類のバイオアッセイ酵母を作出することである。申請者らがこれまでに作出した28種類のバイオアッセイ酵母は、核内受容体結合活性、神経伝達物質様活性、昆虫変態ホルモン様活性、DNA損傷応答誘発性、重金属応答誘発性を検出する。本課題でそれぞれの細胞壁を消化し、酵母細胞内への汚染物質流入量を向上させる。細胞外への再流出を、薬剤排出ポンプ遺伝子を破壊することで阻止する。細胞内に保持される汚染物質濃度を高めることでこれらバイオアッセイ酵母は高感度化する。それぞれの高感度化アッセイ酵母に適切な環境試料前処理法を開発する。これらを組み合わせ高感度・簡便・安価なアッセイ法として確立する。日本とアジア地域(台湾)で様々な環境試料をアッセイする実証試験をおこなう。
本年度は甲状腺ホルモン受容体、ビタミンD受容体、ファルネソイドX受容体、プレグナンX受容体、多環芳香族受容体結合活性アッセイ酵母を高感度化対象とした。
これら受容体結合アッセイ酵母の、外来異物の細胞外への排出をおこない薬剤排出ポンプとして知られる、ABCトランスポーターに属する一群のたんぱく質遺伝子を破壊した。遺伝子破壊には部位特異的組換え法の一つCre-loxP法を用いた。標的とした薬剤排出ポンプはPdr5、Pdr10であった。また細胞壁部分消化条件では細胞壁たんぱく質Cwp1、Cwp2遺伝子破壊もおこなった。これら一連の操作により物質の浸透性が高まる一方、外来異物の排出能力を欠くことで、バイオアッセイにおいて酵母細胞内の被検物質濃度が恐らく上昇し、実際に検出感度の飛躍的な改善が期待された。しかし、改善したのは多環芳香族受容体酵母のみで、甲状腺ホルモン受容体、ビタミンD受容体、ファルネソイドX受容体、プレグナンX受容体酵母の高感度化はわずかであった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H01668
ID情報
  • 課題番号 : 18H01668
  • 体系的課題番号 : JP18H01668