共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2025年3月

パキスタン系ムスリム移民社会における「強制結婚」:ノルウェーの事例研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K12324
体系的課題番号
JP20K12324
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

研究期間の2年目である2021年度は、昨年度に引き続き、これまでの調査で収集した「オスロのパキスタン系移民社会」「マンチェスターのパキスタン系移民社会」「パキスタンのリトル・ノルウェー地区」「日本のパキスタン系住民」に関するデータの整理と分析をおこなうとともに、インターネットや文献資料を通じて最新の関連情報を収集した。
海外での現地調査は、昨年度と同様、新型コロナウィルスの世界規模での感染拡大のために実施できなかった。そのため、国内のパキスタン系住民のコミュニティにも視野を広げ、これまでに調査した富山県高岡市・射水市、群馬県伊勢崎市などのほか、新たに首都圏(新大久保や横浜など)での調査に着手した。また、国内外の研究者による学術論文だけでなく、各国の政府機関やNGO団体が発行している白書や報告書も参照し、世界規模でのパキスタン系ムスリム移民社会の現状把握に努めた。
以上の結果、インド系の移民・ディアスポラに関する研究や、より広範な移民・ディアスポラ研究と比較して、パキスタン系の移民・ディアスポラに関する研究は、イギリスをはじめとするヨーロッパにおいても、質量ともに非常に不十分な現状が浮かび上がった。さらに、日本の場合、日本人女性と結婚したパキスタン系男性や、その家庭には学術調査やマスメディアの関心が及ぶが、永住資格をもつパキスタン系男性と結婚したパキスタン系女性の不安定な法的・経済的状況には関心が寄せられず、その生活実態もほとんど知られていない様子が明らかとなった。日本のパキスタン系女性が抱える困難の背景に、「強制結婚」がどのようなかたちで関わっているかが、ノルウェーやイギリスなど、他国の状況と比較する上でも重要なポイントであることが分かってきた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K12324
ID情報
  • 課題番号 : 20K12324
  • 体系的課題番号 : JP20K12324

この研究課題の成果一覧

論文

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