2020年4月 - 2025年3月
パキスタン系ムスリム移民社会における「強制結婚」:ノルウェーの事例研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
研究期間の2年目である2021年度は、昨年度に引き続き、これまでの調査で収集した「オスロのパキスタン系移民社会」「マンチェスターのパキスタン系移民社会」「パキスタンのリトル・ノルウェー地区」「日本のパキスタン系住民」に関するデータの整理と分析をおこなうとともに、インターネットや文献資料を通じて最新の関連情報を収集した。
海外での現地調査は、昨年度と同様、新型コロナウィルスの世界規模での感染拡大のために実施できなかった。そのため、国内のパキスタン系住民のコミュニティにも視野を広げ、これまでに調査した富山県高岡市・射水市、群馬県伊勢崎市などのほか、新たに首都圏(新大久保や横浜など)での調査に着手した。また、国内外の研究者による学術論文だけでなく、各国の政府機関やNGO団体が発行している白書や報告書も参照し、世界規模でのパキスタン系ムスリム移民社会の現状把握に努めた。
以上の結果、インド系の移民・ディアスポラに関する研究や、より広範な移民・ディアスポラ研究と比較して、パキスタン系の移民・ディアスポラに関する研究は、イギリスをはじめとするヨーロッパにおいても、質量ともに非常に不十分な現状が浮かび上がった。さらに、日本の場合、日本人女性と結婚したパキスタン系男性や、その家庭には学術調査やマスメディアの関心が及ぶが、永住資格をもつパキスタン系男性と結婚したパキスタン系女性の不安定な法的・経済的状況には関心が寄せられず、その生活実態もほとんど知られていない様子が明らかとなった。日本のパキスタン系女性が抱える困難の背景に、「強制結婚」がどのようなかたちで関わっているかが、ノルウェーやイギリスなど、他国の状況と比較する上でも重要なポイントであることが分かってきた。
海外での現地調査は、昨年度と同様、新型コロナウィルスの世界規模での感染拡大のために実施できなかった。そのため、国内のパキスタン系住民のコミュニティにも視野を広げ、これまでに調査した富山県高岡市・射水市、群馬県伊勢崎市などのほか、新たに首都圏(新大久保や横浜など)での調査に着手した。また、国内外の研究者による学術論文だけでなく、各国の政府機関やNGO団体が発行している白書や報告書も参照し、世界規模でのパキスタン系ムスリム移民社会の現状把握に努めた。
以上の結果、インド系の移民・ディアスポラに関する研究や、より広範な移民・ディアスポラ研究と比較して、パキスタン系の移民・ディアスポラに関する研究は、イギリスをはじめとするヨーロッパにおいても、質量ともに非常に不十分な現状が浮かび上がった。さらに、日本の場合、日本人女性と結婚したパキスタン系男性や、その家庭には学術調査やマスメディアの関心が及ぶが、永住資格をもつパキスタン系男性と結婚したパキスタン系女性の不安定な法的・経済的状況には関心が寄せられず、その生活実態もほとんど知られていない様子が明らかとなった。日本のパキスタン系女性が抱える困難の背景に、「強制結婚」がどのようなかたちで関わっているかが、ノルウェーやイギリスなど、他国の状況と比較する上でも重要なポイントであることが分かってきた。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K12324
- 体系的課題番号 : JP20K12324
この研究課題の成果一覧
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論文
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産業研究(高崎経済大学地域科学研究所) 58(2) 21-34 2023年3月 査読有り筆頭著者
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SIAS Lecture Series (上智大学イスラーム研究センター) (6) 13-28 2021年3月 筆頭著者
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田中雅一・嶺崎寛子編『ジェンダー暴力の文化人類学:家族・国家・ディアスポラ社会』昭和堂 397-420 2021年2月 査読有り筆頭著者
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地域政策研究 23(2) 1-11 2020年12月 筆頭著者