論文

査読有り
2012年7月

繁殖干渉による寄主特殊化の進化

日本生態學會誌
  • 鈴木紀之
  • ,
  • 大澤直哉
  • ,
  • 西田隆義

62
2
開始ページ
267
終了ページ
274
記述言語
日本語
掲載種別
研究論文(学術雑誌)
DOI
10.18960/seitai.62.2_267
出版者・発行元
日本生態学会暫定事務局

本稿の目的は寄主特殊化における繁殖干渉の重要性を主張することである。多くの動物は寄主の周辺で繁殖を行うため、資源利用の仕方と繁殖成功は深く関わっていると考えられる。しかし、資源競争の効果が疑問視されてから、寄主特殊化の研究において同じ栄養段階に属する種間の相互作用はほとんど注目されることなく、繁殖干渉の重要性も評価されていない。そこでまず、寄主特殊化の要因として従来考えられてきた昆虫と寄主との共進化について、現在得られているパターンを整理する。昆虫学、化学生態学、分子系統学といった学問分野の成果を引用しながら、共進化の概念だけでは寄主特殊化を十分に説明しにくいことを示す。次に、捕食性テントウムシのクリサキテントウHarmonia yedoensisとその近縁種であるナミテントウHarmonia axyridisを用いて私たちが進めている実証研究について紹介する。クリサキテントウはナミテントウからの繁殖干渉を避けるために捕まえにくいアブラムシに特殊化したという仮説を検討する。最後に、実証研究の結果をもとにして、寄主特殊化の鍵となる昆虫の産卵選好性の進化について議論をし、寄主特殊化における成虫の行動の重要性を指摘する。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.18960/seitai.62.2_267
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/10031126371
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00193852
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/024731653
URL
http://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010833284 本文へのリンクあり
ID情報
  • DOI : 10.18960/seitai.62.2_267
  • ISSN : 0021-5007
  • CiNii Articles ID : 10031126371
  • CiNii Books ID : AN00193852

エクスポート
BibTeX RIS