共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2020年3月

社会脳を創発するソーシャル・インタラクション:二つの脳の融合に向けて

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
15H01690
体系的課題番号
JP15H01690
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
43,160,000円
(直接経費)
33,200,000円
(間接経費)
9,960,000円

研究課題は、社会脳の動作メカニズムを主として前頭葉・頭頂葉・側頭葉とそれらをつなぐネットワークの働きから解明し、また社会性の適応障害の原因究明と改善法の探求を進めることで、健全で豊かな社会脳の働きを生み出す仕組みを探求することを目標としている。
このため、特に複数人が協調して課題を達成する際の社会脳のダイナミックな相互作用を直接観察できる革新的な複数人同時計測法(ハイパースキャニング:hyperscanning)を導入し、「複数の脳がひとつの心」になる過程を機能的近赤外分光法(fNIRS)を中心に検討した。同時に、機能的磁気共鳴画像法(fMRI)などの脳イメージング法によって統合失調症などの社会性疾患を社会脳ネットワークの機能不全から検討し、適応障害の予防や改善の方法を検討した。平成30~令和元年度には、複数名の実験参加者を対象としたfNIRSによるハイパースキャニングを、同期的行動を指標としてウェーブレット・コヒーレンス相関法で解析した結果、前頭葉皮質下部領域に他者との行動の同期をとる領域が認められた。他の参加者の判断や評価を受けて、自らの判断を行うような協調・競合課題を行う際の同期的活動や、その際の行動の変化を計測する課題を同様の相関法で詳細に分析中である。
また、社会性障害では統合失調症患者では灰白質体積の減少とともに文化差による影響があること、さらに東アジアにおいては、対人恐怖症と社会不安症などの患者が認知的共感の減少とかかわることがfMRIを用いた研究で示された。
こうした一連の融合的研究を通して、社会脳を創発する社会的同期行動の基礎となる脳内過程の解明の一部が明らかにされた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15H01690
ID情報
  • 課題番号 : 15H01690
  • 体系的課題番号 : JP15H01690