2014年
ごん狐はなぜ撃たれたか―「権狐」・火縄銃・中山様を繋ぐ必然の糸
京都語文
- 巻
- 21
- 号
- 21
- 開始ページ
- 190
- 終了ページ
- 209
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 佛教大学
新美南吉が「スパルタノート」に残した、「ごん狐」の元原稿と思われる「権狐」には、この物語を語り手の「私」に話して聞かせてくれた「茂助爺」のかつての職業、現在の生活状況、話をした場所のほか、物語の時代設定、「中山様と云ふお殿さま」が住んでいたことなど、一見無駄と思われるような、物語成立にかかわる情報が多数盛り込まれている。これら、「ごん狐」ではほぼ消去されてしまった、物語のストーリー進行には無関係と思われる情報のうちに、悲劇的な結末をもつこの物語の由来が隠されているのではないか。この観点から本稿は、「権狐」を主たる対象とし、その成立背景にあったと考えられる地理的・歴史的情報の勢力図を再構築することにつとめた。また、その勢力図から読み取り得る物語の陰翳を検討し、この物語の理不尽な幕切れの由来するところを探った。
- リンク情報
- ID情報
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- ISSN : 1342-4254
- CiNii Articles ID : 110009851189
- CiNii Books ID : AN10591104