共同研究・競争的資金等の研究課題

1998年 - 1999年

光応答性酵素モデル錯体の合成的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 奨励研究(A)  奨励研究(A)

課題番号
10740312
体系的課題番号
JP10740312
配分額
(総額)
2,400,000円
(直接経費)
2,400,000円

1、光応答性酵素、ニトリルヒドラターゼはこれまで知られていなかったタイプの非ヘム型Fe(III)活性中心を持つ。明所中、配位したNOを解離し活性化する。逆に暗所中、NOを再結合することで不活性化される。活性化された酵素は水和反応によりニトリルからアミドを生成する。
本酵素はモデル錯体の合成に必要な活性中心の化学的性質が不明なため、平成11年度は酵素反応機構と配位子ペプチドに関する2つの研究を行った。
2、酵素の水和反応反応機構を基質アナログと同位体効果による反応過程から研究した。ニトリルヒドラターゼはRhodococcus sp.N771から精製した。基質アナログにはニトリルに電子構造の似ているイソニトリルを用いた。酵素に基質及び基質アナログを加え、可視紫外吸収,ESRスペクトルを測定した。その結果、可視紫外吸収スペクトルには吸収極大の分裂が見られた。これは配位子場分裂であり、ニトリルやisonitrileがFe(III)イオンに特異的に配位することが明らかとなった。ESRもイソニトリルでg_1が2.286から2.167へとシフトし、Fe(III)イオンへの配位を支持する。よって基質であるニトリルは触媒反応中は定常状態でFe(III)イオンに配位していることがわかった。D_2Oを用いた酵素反応ではVmaxに同位体効果が見られた(1923,1091 U/mg in H_2O and D_2O,respectively)。よって水のO-H結合の解裂が酵素反応の律速段階であることを明らかになった。
3、配位子ペプチドに適した結晶性が良く、非極性有機溶媒に可溶な配列の合成に成功した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10740312
ID情報
  • 課題番号 : 10740312
  • 体系的課題番号 : JP10740312