共同研究・競争的資金等の研究課題

1996年 - 1998年

人工合成抗原によるマラリア流行地住民の免疫状態測定用キットの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)
  • 鈴木 守
  • ,
  • 片貝 良一
  • ,
  • 佐藤 久美子
  • ,
  • 狩野 繁之
  • ,
  • 吉田 勝
  • ,
  • 奥 浩之
  • ,
  • 米澤 信行

課題番号
08557021
体系的課題番号
JP08557021
配分額
(総額)
15,500,000円
(直接経費)
15,500,000円

本研究では、マラリア診断用人工抗原の合成を目的として、(NANP)nの構造特性からそのターン構造に注目し、そのターンを巧みに構築させるようなペプチドBoc・GIGNPNAGIG・Oet、及びcyclo[(NPNAGAG)2]の合成を行った。また、免疫学的測定法によってその抗原性も検討し、各分光法によって確認されたところのターン構造が、高い抗原活性を呈しているものと考えられた。以上によって、本抗原は個人的診断においては、蚊による吸血で熱帯熱マラリア原虫の感染を近い過去に受けたか否かの診断が可能となる。また疫学的には、その集団の本抗原に対する平均抗体価の高低によって、ベクターであるハマダラカの密度の推定や、ヒトのマラリアヘの感受性にまで言及がおよぶ可能性がある。
マラリア原虫の赤内型ステージの原虫が産生するエノラーゼ分子のペプチド合成に関わる研究は、部分ペプチドの抗原性を確認する作業によって、その分子の有用性がクローズアップされた。即ち、ヘリックスを構築するGFAPNILNANEALDLLは、その血清との反応性において、全エノラーゼ分子のSDS-PAGEで泳動された抗原ポリペプチドと同じ傾向の活性を有していることが判明した。重症かつ臨床的に早期の段階の患者血清に強く反応する抗原として、そのマーカーとして用いることができるのみならず、地域の疫学的指標を得るための抗原として用いれば、確実にその流行地に起きた最近の突発性流行をとらえることができる。
上記それぞれの抗原ペプチド構造は、全くの新規の構造であって、蛋白工学的にもその有用性が高い。本ペプチドの抗原としての需要が高まれば、商品化された診断用標準キットヘの応用が可能となるであろう。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-08557021
ID情報
  • 課題番号 : 08557021
  • 体系的課題番号 : JP08557021