共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年5月 - 2020年3月

がん幹細胞化に関与するSphere形成メカニズムを標的とした革新的治療開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(S)  基盤研究(S)

課題番号
15H05792
体系的課題番号
JP15H05792
配分額
(総額)
187,200,000円
(直接経費)
144,000,000円
(間接経費)
43,200,000円

がんの難治性に関わるメカニズムとして『Sphere形成』に着目し、“Sphere Biology”研究を推進することで、その発生機序の解明が嘱望されていた消化器がん並びに卵巣がんの最も進行した病態かつ極めて予後不良である腹膜播種の全容を解明するに至った。
その結果を受けてSphereをターゲットとした薬物スクリーニングのためのシステム構築を開始、従来技術と比較して極めて高精度な技術を確立した。本スクリーニング系では、東大創薬機構より既知化合物ライブラリの提供を受け、およそ3000化合物からMEKに対する阻害剤PD0325901などを取得した。
また、固形腫瘍の薬剤耐性メカニズムとしてがん幹細胞株によるNicheとの相互作用に着目し、イリノテカンのストレスを受けることで多様な役割分担を獲得し、それらが相互作用することで耐性を獲得するメカニズム“Self niche仮説”の、全容解明に向けた重要な足がかりを得た。加えて、同悪性化メカニズムに着目し、Sphere内部で発現するmiRNAの役割を元に、転移・浸潤能の観点から悪性化の本態を捉えるためのデータを取得した。
さらに、大腸癌の初期段階のLgr5+腸管幹細胞のWNTシグナルの制御機構の破綻は、cancer-initiating stem cells (CISCs)の発生やsphere形成の重要な分子機序と考えられ、これらを阻害する薬剤の標的候補として、腸内胆汁酸組成の改変を誘導するプロバイオティクスやFXRのagonistが有望であると考えている。
まとめると、本研究によって特に腹膜播種はその全容が解明されたことで多くの治療ターゲット創出に繋がるとともに、腹腔内ではわずかな時間で腫瘍細胞がクラスター化し、ダイナミックな発現変化が起こることが明らかになったことは極めて重要な発見である。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-15H05792/15H05792_saitaku_gaiyo_ja.pdf
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-15H05792/15H05792_saitaku_shoken_ja.pdf
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-15H05792/15H05792_kenkyu_shinchoku_hyoka_gaiyo_ja.pdf
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-15H05792/15H05792_kenkyu_shinchoku_hyoka_keka_ja.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15H05792
ID情報
  • 課題番号 : 15H05792
  • 体系的課題番号 : JP15H05792