1986年6月30日
組織変動と環境変動-個体群生態学モデルの社会変動論への応用をめざして
社会学評論
- 巻
- 37巻 1号 64-78頁
- 号
- 1
- 開始ページ
- 64
- 終了ページ
- 78,128*-127
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.4057/jsr.37.64
- 出版者・発行元
- 日本社会学会
経済変動と社会変動の相互関連の理解を可能ならしめるためには、(1)社会の中にさまざまな種類の組織が混在する状況について説明可能で、(2)なおかつ組織変動と組織環境変動の相互規定関係を把握しうる分析枠組みが必要である。最近ハナンやフリーマンたちの手によって発展している組織の個体群生態学モデルは(1)の条件をみたしているが、(2)の点については未開拓なままである。そこで本稿では、組織のアウトプットの革新が組織環境の変動を形成すると考えられる点に注目し、二つの条件を同時にみたすモデルの開発を試みる。このモデルに従うと、組織のアウトプットの革新の余地が広く、かつ情報化の進んだ者社会においては、長期的に見ると、安定した環境のもとでは環境耐性の広い組織が分布を増大させていくという仮説が導かれる。さらには、官僚制は非常に崩れにくい、というヴェーバーやクロジェの主張とは対照的に、不安定な環境下における官僚制組織の増大は、逆に官僚制的組織の存続にとって不利な方向への環境変動を促進する、という仮説が導かれる。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.4057/jsr.37.64
- ISSN : 0021-5414
- CiNii Articles ID : 110000225605
- CiNii Books ID : AN00109823