2018年4月 - 2022年3月
非含水主要マントル鉱物の水素位置の特定とそのレオロジー特性の解明
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
水がカンラン石のレオロジーに大きな影響を与えることが示されてから、30年以上にわたってマントル鉱物のレオロジーへの水の効果は多くの研究者によって調べられてきている。しかし、報告された結果には一貫性がなく、マントルのダイナミクスへの水の効果を定量的に応用する段階にないのが現状である。その主な原因は、ほとんどの研究で全含水量をパラメータとした議論に限定されてきたため、マントル鉱物のレオロジーに対する水素の結晶学的配置の影響が全く考慮されてこなかった点にあると考えられる。また、遷移層・下部マントルに至っては、レオロジーに関する研究が限られており、水の影響を議論するに至っていない。本研究は、FTIRで観測されるいくつかのOH伸縮バンドがそれぞれの水素位置を反映していることに着目して、上部マントルから下部マントルまでの主要鉱物について水素位置を特定し、レオロジーに与える水の影響を結晶学的に解明することを目的とする。
水素位置の特定には主にIRスペクトルを用いる。本研究では主に無水マントル鉱物単結晶の結晶方位・圧力・温度依存性を明らかにすることで、水素位置の特定を行う。そこで、2018年度は主に、ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧その場IRスペクトルの温度依存性を明らかにすべく、加熱(~400℃)・冷却(~-80℃)システムの導入を行った。また、この加熱・冷却システムの導入に先立って、徳島大学にてカンラン石とAlを含む斜方輝石についての極低温条件(8K)までのIRスペクトル測定を行い、Alを含む斜方輝石でブロードなOH伸縮バンドはガーネットで報告されているような結果とは異なり、極低温下でもブロードなままであることが確認された。また、さらに、水素位置を特定後、水を含むマントル鉱物のレオロジーを測定するための変形試験機の高度化も併せて行った。
水素位置の特定には主にIRスペクトルを用いる。本研究では主に無水マントル鉱物単結晶の結晶方位・圧力・温度依存性を明らかにすることで、水素位置の特定を行う。そこで、2018年度は主に、ダイヤモンドアンビルセルを用いた高圧その場IRスペクトルの温度依存性を明らかにすべく、加熱(~400℃)・冷却(~-80℃)システムの導入を行った。また、この加熱・冷却システムの導入に先立って、徳島大学にてカンラン石とAlを含む斜方輝石についての極低温条件(8K)までのIRスペクトル測定を行い、Alを含む斜方輝石でブロードなOH伸縮バンドはガーネットで報告されているような結果とは異なり、極低温下でもブロードなままであることが確認された。また、さらに、水素位置を特定後、水を含むマントル鉱物のレオロジーを測定するための変形試験機の高度化も併せて行った。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H01314
- 体系的課題番号 : JP18H01314