共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年6月 - 2020年3月

核-マントル物質の動的挙動

日本学術振興会  科学研究費助成事業 新学術領域研究(研究領域提案型)  新学術領域研究(研究領域提案型)

課題番号
15H05827
体系的課題番号
JP15H05827
配分額
(総額)
152,360,000円
(直接経費)
117,200,000円
(間接経費)
35,160,000円

熱・物質輸送過程の観点から地球深部物質の物性測定の研究を推進し、今年度は以下のような成果が得られた。外核の熱伝導率を検証するために、マルチアンビル装置を用いて溶融状態の鉄の電気伝導度測定の開発を行ない、15GPaまでの測定が可能となった。DACを用いた研究では、内核の熱伝導率と熱流の異方性の有無を検証するために、内核の主要構成相であるhcp鉄の熱伝導率異方性の測定を行った。その結果、hcp鉄には45 GPaで約3倍程度の熱伝導率異方性が存在することがわかった。また、外核に含まれる軽元素候補の一つである水素が鉄の電気伝導度に与える影響を高温高圧実験により初めて明らかにした。(Mg,Fe)Oは下部マントル中で様々な組成で存在していると考えられている。本研究では組成の異なる(Mg,Fe)Oの格子熱伝導率の測定を高圧下で行い、(Mg,Fe)Oの格子熱伝導率の組成依存性を明らかにした。
KEK, NE7Aに導入したD111型ガイドブロックを用いた高圧変形実験では、hcp鉄の高温高圧変形その場観察を行なった。圧力17-23GPa、温度423-873Kで行なった歪速度ステップ、温度ステップ、圧力ステップ実験により、この条件でのhcp鉄の流動則を決定した。約700K以上の高温では、純金属のべき乗則クリープで一般的な5に近い応力指数の値が得られた。これは地球内核の粘性率を解明するための足掛かりとなる。また、せん断変形場でMg2SiO4のオリビンースピネル相転移実験、NaNiF3のペロフスカイトのポストペロフスカイト相への相転移機構を明らかにする研究を開始した。パイロライト物質に加えMORBについても下部マントルにおける粒径進化を検討し、MORBはパイロライトよりも細粒になることから、粘性に違いが出る可能性が示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PLANNED-15H05827
ID情報
  • 課題番号 : 15H05827
  • 体系的課題番号 : JP15H05827

この研究課題の成果一覧

論文

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