Research Projects

2003 - 2005

電気伝導度測定による珪酸塩鉱物中の連結度の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

Grant number
03J02518
Japan Grant Number (JGN)
JP03J02518
Grant amount
(Total)
3,300,000 Japanese Yen
(Direct funding)
3,300,000 Japanese Yen

本年度は、アメリカ合衆国ニューヨーク州トロイにあるレンセラー工科大学のワトソン教授の下で、主にピストンシリンダー高圧発生装置を用いた実験を行い、固液混合系における液相の分布形態の幾何学を回収試料の電子顕微鏡写真を用いて行った。液相の連結度は電気伝導度に非常に敏感であり、その微細構造の詳細を知ることは地球深部物質の液相の移動(浸透率)、弾性特性、レオロジーなどの物性を明らかにするのに非常に有効な手段である。
本年度前半は様々な二面角、ファセットの度合いを示す液相と固相からなる系を液相の体積分率を変えることにより、固相の表面が液相にどれだけ濡らされるのか(ウエットネス)を詳細な画像解析により調査した。ウエットネスは固相の全境界(固相? 固相境界および固液境界)面積に占める固液境界の比で表される。ウエットネスは概して液相の体積分率の増加につれて増加するが、二面角の小さな系ほど増加の度合いが大きいことが分かった。特に、ファセットの度合いの小さい系に関しては、理論から予測される値に近い結果を与えた。しかしながら、ファセットの度合いが大きくなるにつれ、ウエットネスは理論曲線からはずれて低い値を持つことが示唆され、これは結晶の表面エネルギーの異方性が大きくなると粒子のクラスター化、液相が不均質にプール状に集まるためであると推測される。また、液相の体積分率とウエットネスを対数でプロットすると傾き1/2で近似できることが分かった。このことは、液相の固相内における分布は、粒子の稜部を結ぶ線状のネットワークを形成していることを示す。この結果に基づき固液2相系における弾性モデルを構築した。
本年度後半はオリビン-水系の二面角の測定を1200度Cで1? 13GPaまでの範囲で行った。4GPa以上の実験はエール大学の唐戸教授のもと行った。二面角は圧力の上昇にともない急激に減少することが測定の結果から明らかになり、おそらく10GPa付近では二面角は0度に近くなることが示された。このことは少量の水の存在が上部マントル深部で物性に対し、多大な影響を与えることを示唆する。

Link information
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-03J02518
ID information
  • Grant number : 03J02518
  • Japan Grant Number (JGN) : JP03J02518