本稿では,児童発達支援や幼児保育のような,多数の被写体が不規則に動き回る環境において,多視点カメラ群を簡易かつ安定に設置・撮影する多視点映像撮影方式と,それらによって撮影された映像の直感的な観察を可能とする閲覧方式を提案する.児童発達介入や幼児保育作業を多視点から観察することにより,セラピストや保育者の技能の確認や共有を実現し,エキスパート養成支援を目指す.本方式では,カメラを埋め込んだ幼児用ゲージを複数枚用意し,それらを繋ぎ合わせることで,撮影スペースを確保すると同時にカメラ設置を行う.カメラ操作(録画・停止)やモニタリング作業を無線通信経由で行うことにより,ワイヤリング作業が不要となり,簡単に設置可能である.多視点映像の閲覧方式として,高解像度で撮影された多視点カメラを連続的に切替えるBullet-Timeを用いる.閲覧者は,カメラ間の位置関係(空間的連続性)と時間的連続性を理解しながら,直感的に映像の切り替えが可能である.さらに,デジタルズーム処理を施すことによって,Bullet-Timeの観察視点を疑似的に前後に移動する手法を導入し,視点移動操作の自由度を向上させる.