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2012年12月

おたまじゃくしの尾の消失—免疫学的な観点から見る動物の体作り

化学と生物
  • 井筒 ゆみ

50
12
開始ページ
883
終了ページ
890
記述言語
日本語
掲載種別
記事・総説・解説・論説等(その他)
DOI
10.1271/kagakutoseibutsu.50.883
出版者・発行元
国際文献社

おたまじゃくしがカエルになるとき,体の体積の半分を占める尾を消失する.両生類は,ひれをもち魚のような形をした幼生から,四つ足がはえた成体へと大規模な体の作り変えをするが,その最も顕著な例は尾の消失に見ることができる.尾の消失は発生プログラミングされた細胞死(アポトーシス)によって起こるが,そのメカニズムは,古くから甲状腺ホルモンによる細胞自律的な死によると説明されてきた.筆者らは,変態期の幼生細胞に特異的に発現する2つの新規の抗原タンパク質を同定し,成体型免疫細胞が尾を異物として認識し,死に至らせるという考えを支持する結果を得た.これにより,従来知られてきた甲状腺ホルモン作用だけでなく,新たな作用機構として,免疫が自己組織と非自己組織を識別し,脊椎動物の器官形成に働く可能性を示す.

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.1271/kagakutoseibutsu.50.883
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/10031127837
CiNii Books
http://ci.nii.ac.jp/ncid/AN00037573
URL
http://id.ndl.go.jp/bib/024136705
URL
https://jlc.jst.go.jp/DN/JALC/10012671037?from=CiNii
ID情報
  • DOI : 10.1271/kagakutoseibutsu.50.883
  • ISSN : 0453-073X
  • CiNii Articles ID : 10031127837
  • CiNii Books ID : AN00037573

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