2017年4月 - 2020年3月
原典資料に基づく、キリシタン語学の根源的再編成
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
16~17世紀のキリスト教宣教時の日本語研究は、「キリシタン語学」として、先学の多くの研究成果があるが、宣教に伴うアジア・中南米語の研究は、これらの言語とラテン文法との初の言語学的邂逅として、新分野「宣教に伴う言語学」missionary linguisticsを形成しつつある。
本研究は、キリシタン語学が依拠していた当時の欧州側典拠文献を探索し、「宣教に伴う言語学」の手法によって、原典とキリシタン文献とを克明に対照する作業を通じて、当時のキリシタン達の持ち得た視点からキリシタン語学の構築を再現し、印刷史・表記史の観点も加味して、キリシタン語学を根源から体系的に再編成する事で、今後の日本語史研究の確かな基盤の一つとして位置付ける事を目指すものである。
今年度は、昨年度に引き続き、キリシタン文典(文法書)の典拠探索と、その電子的リソース構築を進め、過年度に構築済のキリシタン文献関連文法書データベース https://joao-roiz.jp/LGRI/ に新たに4件を追加して広く無償で公開している他、学会発表・査読論文の公刊などの活発な活動を行なった。又、研究分担者の白井純が、2018年8月に南米ブラジル・リオデジャネイロに、キリシタン版「日ポ辞書」(1603年刊)の存在を初めて報告した事は、この稀覯書が世界に5冊しか現存しない事を考慮すれば、研究開始時には全く想定しなかった悦ばしい驚きであり、この分野の文献学的研究の今後の進展に大いに期待を持たせる結果となった事は、特筆すべきである。既に、この辞書に関する研究論文を公刊しており、来年度の出版・研究に向けて、研究会・出版交渉などを進めている処である。
本研究は、キリシタン語学が依拠していた当時の欧州側典拠文献を探索し、「宣教に伴う言語学」の手法によって、原典とキリシタン文献とを克明に対照する作業を通じて、当時のキリシタン達の持ち得た視点からキリシタン語学の構築を再現し、印刷史・表記史の観点も加味して、キリシタン語学を根源から体系的に再編成する事で、今後の日本語史研究の確かな基盤の一つとして位置付ける事を目指すものである。
今年度は、昨年度に引き続き、キリシタン文典(文法書)の典拠探索と、その電子的リソース構築を進め、過年度に構築済のキリシタン文献関連文法書データベース https://joao-roiz.jp/LGRI/ に新たに4件を追加して広く無償で公開している他、学会発表・査読論文の公刊などの活発な活動を行なった。又、研究分担者の白井純が、2018年8月に南米ブラジル・リオデジャネイロに、キリシタン版「日ポ辞書」(1603年刊)の存在を初めて報告した事は、この稀覯書が世界に5冊しか現存しない事を考慮すれば、研究開始時には全く想定しなかった悦ばしい驚きであり、この分野の文献学的研究の今後の進展に大いに期待を持たせる結果となった事は、特筆すべきである。既に、この辞書に関する研究論文を公刊しており、来年度の出版・研究に向けて、研究会・出版交渉などを進めている処である。
- ID情報
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- 課題番号 : 17H02341
- 体系的課題番号 : JP17H02341