共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

繰返し降雨による斜面の変形と破壊のメカニズム-土砂災害警戒避難基準雨量の高度化-

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H01674
体系的課題番号
JP18H01674
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
14,560,000円
(直接経費)
11,200,000円
(間接経費)
3,360,000円

斜面災害に関する従来の防災研究の多くは,“個々の短期的な降雨事象”に対する斜面内の地下水位上昇とそれに伴う斜面変動について着目したもので,先行する降雨履歴の有無を考慮することはあったとしても,ある期間の間に繰り返して作用する複数の降雨事象を,斜面変動の外因として包括的かつ直接的に考慮することはほとんどなかった。本課題研究では,降雨時→降雨後の静穏期→再降雨時など,繰返し降雨が斜面に与える影響と各時点での斜面変動の進行過程を明らかにするため,模型実験や要素試験などに基づいて,崩壊に至る前の早い段階で前兆的に観察されることのある変動現象,ならびに崩壊直前に見られる急速かつ自発的な変形の進展を,いずれも精度良く表現するための力学モデルを開発する。こうした研究の成果は,降雨が断続的に続く雨季の斜面災害防止の重要な手掛かりとなる警戒避難基準雨量の高度化に資するものである。
昨年度においては,過去に実施した大型斜面模型への繰り返し降雨実験における斜面の変位や変形の計測データの分析を試みた。また実験条件のコントロールが容易な定せん断応力載荷型せん断試験装置を製作した。当初予定の定せん断応力載荷型のせん断試験装置の製作は実施したが、装置の調整と予備実験には至らなかったが,過去の大型斜面模型を用いた実験のデータの分析ができたことは当初予定していなかった成果である。この他,ひずみ軟化特性と進行性破壊をモデル化した弾粘塑性構成則に基づくFEM解析手法を開発するための準備作業に着手した。これらは最終的に実験結果あるいは現地観測データを再現することを試みるものとなるため,斜面内部の力学機構が可視化され,繰返し降雨下で崩壊に至る限界降雨量の閾値を推定するのに必要な解析モデル上の項目についてまずは取りまとめ,今後の本格的なモデル構築ならびにシミュレーション手法の開発に備えた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H01674
ID情報
  • 課題番号 : 18H01674
  • 体系的課題番号 : JP18H01674