2019年4月 - 2023年3月
水災害多発時代における重層的環境ガバナンスの社会学的研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度は、コロナ禍で対面でのインタビュー調査が進められなかったものの、①ガバナンス論を中心に、河川・環境政策および市民セクター・社会運動に関する関連研究のレビューと整理を進めるとともに、②現役官僚が水環境の政策課題について執筆する月刊雑誌『河川』等を対象に、1990年代後半以降の記事を入手し、データの検討と内容分析を開始した。具体的には、記事タイトルから政策課題を抽出・分類し長期的な傾向を把握した上で、「環境」や「市民参加」、「災害」などの政策課題ごとに記事を選定し、内容分析を進めた。
これらの作業を踏まえて、得られたおもな知見は次の3点である。
第一に,「災害対策」は従来からの河川行政の主目的であったが,1990年代後半から2000年代半ば頃にかけては「環境保全」や「改革」「参加・連携」などテーマ(施策)の多様化が見られた。
第二に,「災害対策」が全面化しテーマの多様性が失われるのは2010年代のことであるが,それは東日本大震災の発生により突然生じたものではなく,2000年代から「災害対策」へのシフトは徐々に始まっていたのであり,その「前史」と連続的に捉えるべきである。また,この時期,特集テーマおよび予算方針のいずれにおいても,「『災害対策』への偏重と『環境保全』の相対的な低下」を確認することができる。
第三に,年度予算の「基本方針」や「白書」との対比の結果,雑誌『河川』の特集テーマは時々の河川行政の主要課題や政策関心が反映されるメディアとして,とりわけその変化を通時的に解明するための素材として,一定の有効性を有することが確認された。
これらの作業を踏まえて、得られたおもな知見は次の3点である。
第一に,「災害対策」は従来からの河川行政の主目的であったが,1990年代後半から2000年代半ば頃にかけては「環境保全」や「改革」「参加・連携」などテーマ(施策)の多様化が見られた。
第二に,「災害対策」が全面化しテーマの多様性が失われるのは2010年代のことであるが,それは東日本大震災の発生により突然生じたものではなく,2000年代から「災害対策」へのシフトは徐々に始まっていたのであり,その「前史」と連続的に捉えるべきである。また,この時期,特集テーマおよび予算方針のいずれにおいても,「『災害対策』への偏重と『環境保全』の相対的な低下」を確認することができる。
第三に,年度予算の「基本方針」や「白書」との対比の結果,雑誌『河川』の特集テーマは時々の河川行政の主要課題や政策関心が反映されるメディアとして,とりわけその変化を通時的に解明するための素材として,一定の有効性を有することが確認された。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K02150
- 体系的課題番号 : JP19K02150