共同研究・競争的資金等の研究課題

2002年 - 2004年

ナノスケール液液二相系における電荷移動共役の機構解析と分離化学への応用

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
14205120
配分額
(総額)
54,730,000円
(直接経費)
42,100,000円
(間接経費)
12,630,000円

ナノスケール液液2相系における電荷移動共役を明らかにするために、系の基礎的性質の解明と異なる液液系の構築に重点を置いて研究し、また、それに付随して明らかになった新しい事実・現象・法則である液液界面の電気化学的不安定性に関する研究を展開した。電荷移動共役のもっとも単純な系として、表面が分子レベルで規定された自己組織化単分子膜上に展開したイオン液体薄膜を用いるイオン移動-電荷移動共役系を構築し、その挙動を明らかにした。2.微小液液界面における電荷移動を、(1)イオン液体エマルションにおける電位決定機構、(2)ガラスピペット尖端に形成した微小液液界面におけるイオン移動-電子移動共役を利用する電子移動速度の決定、(3)AOTを利用した逆ミセル空間における蛍光分子周辺の溶媒ダイナミクス、(4)巨大ユニラメラベシクルにおける電位制御下でのイオン移動、の四つの側面から研究した。また、この研究の過程で明らかになってきた界面の電気化学的不安定性が界面の熱力学的安定条件からの逸脱であることを証明し、この不安定性が多くの系で見いだされることを明らかにした。もうひとつの大きな派生的成果は、疎水性イオン液体と水からなる新規な2相系の電気化学的性質の解明である。この界面電位差の性質を理論的に基礎付け、同時に立証した、また、界面の構造に関する研究を展開した。これらの基礎研究は実用に直接結びつくものであり、イオン液体塩橋はその好例であることを示した。すなわち、本研究の過程で発見した概念的に新しいイオン液体塩橋がこれまで100年の間、使われ続けてきた塩化カリウム塩橋に取って代わる可能性を持つことを実証した。また、イオン液体薄膜等、ナノスケール電荷移動共役に用いるシステム構築のための基板として有用な、ナノスケールで配列が制御された自己組織化単分子膜の研究を展開し、多くの知見を得た。

ID情報
  • 課題番号 : 14205120