共同研究・競争的資金等の研究課題

2003年 - 2004年

短い活断層を対象とした地震危険度評価手法の高精度化に関する総合的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
03J10463
体系的課題番号
JP03J10463
配分額
(総額)
1,800,000円
(直接経費)
1,800,000円

年度前半では,昨年度に引き続き,3条の活断層が連動破壊した事例である1891年濃尾地震についての変動地形学調査(地形地質調査,測量調査),特に,根尾谷断層についての調査を実施し,基礎的なデータの取得を完了した.その結果,根尾谷断層が少なくとも過去約15万年間,1.4±0.2mm/yrのほぼ等速度で左横ずれ運動を続けてきたこと,地震時変位量分布と平均変位速度分布の形状が酷似することを見出した.これらの事実は,根尾谷断層が,他の活断層との連動の有無に関わらず,同様の形態の変位(相似変位)を繰り返してきたことを示しており,活断層の連動破壊問題・グルーピング問題についての重要な知見を得たと考えている(Kaneda and Okada,準備中).ただし,形態のみではなく量も同様の変位(合同変位)を繰り返してきたのかどうかについては,トレンチ調査など今後のさらなる調査が必要である.また,以上の結果を基に,濃尾地震震源域の地形学的検知限界を0.3±0.05mm/yrと求めた.この値は1927年北丹後,1943年鳥取両地震の震源域で求められた値(0.1±0.025mm/yr)より有意に大きく,濃尾地震震源域の速い削剥速度が地形学的検知限界を引き上げている可能性が高いと考えられる.
年度後半では,濃尾地震と同様のアメリカの連動破壊事例である1992年Landers,1999年Hector Mine地震についての変動地形学的調査を実施するため,両地震についての調査・研究を行っているTom Rockwell教授(San Diego State Univ.)の研究室に移り,基礎的な資料(空中写真・地形図・資料等)の収集を行った.
なお,当初,行う予定であった,地形学的検知限界を下回る活断層の検知・評価方法についての研究は,十分な時間が確保できず,成果をあげることができなかった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-03J10463
ID情報
  • 課題番号 : 03J10463
  • 体系的課題番号 : JP03J10463