2016年
工業化と非正規化
経済地理学年報
- 巻
- 62
- 号
- 2
- 開始ページ
- 71
- 終了ページ
- 86
- 記述言語
- 英語
- 掲載種別
- DOI
- 10.20592/jaeg.62.2_71
- 出版者・発行元
- 経済地理学会
<p> インドにおける工業化の進展は,同時に労働市場の非正規化を招いている.それは,近代工業の中では自動車において,また地域的には「オート・コリドー」の中核をなすハリヤーナー州において顕著に認められる.本稿は,同州最大の工業団地・IMTマネサール近傍のアパート居住者調査に基づいて,自動車産業の請負労働市場の内実を明らかにしたものである.請負労働を取り巻く制度的背景,請負ワーカーの学歴や出身地などの属性,参入経路や請負業者が果たす役割,そして経済生活などについて新たな知見を得るとともに,このような雇用の非正規化(インフォーマル化) は,オート・コリドーから離れたUP州やビハール州に「請負ワーカーベルト」と呼ぶべき,労働力の移出地域を顕在化させたことを見いだした.請負ワーカーベルトは,工業化により形成された労働力需給システムを介して,オート・コリドーへの低賃金労働力供給地として包摂されると同時に,そこに従属する関係がつくり出されている.この関係は,現代インドにおける中心-周辺構造の形成とみることもでき,同国の経済地域構造を捉える上で重要な論点となるであろう.</p>
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- ID情報
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- DOI : 10.20592/jaeg.62.2_71
- CiNii Articles ID : 130006069086