研究ブログ

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コロナの隙間を突いて対面授業(3)

 筑波大学生物資源学類「基礎数学」の授業(2021/12/20)。対面授業の3回め。まだコロナは下火の状態。今回は「紙工作で全微分を理解しよう」がテーマ。全微分は2変数関数について立体的なイメージで教えることが多いのだが, その立体がイメージできない学生が多い。黒板やテキストの平面的な立体図が読み取れないのである。そこで, その図を紙工作で実際に立体的に作らせるのである。ここ数年, やっていなかったネタだが, 対面授業のお楽しみにはピッタリだ。

 「はさみと糊を持って来てください」という, おそらく小学校以来の指示を多くの学生がちゃんと守ってくれたのは感心である。

 オミクロン株が来ているので, おそらく対面はこれが最後だろう。出席者は60人ほど。200人以上が入る大教室をゆったり使って, 密を避けて換気も気をつけて行った。以下, 学生のコメント
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久しぶりに図工をして楽しかった。

全微分が曲面を平面で近似していることが紙工作を通してイメージで理解することができた。ただし、これがイメージとしてすんなり理解できたのは、微分の定義や全微分、偏微分について一度丁寧に理論を勉強をしたからこそだと思う。理論先行イメージ後付けの勉強の効果を実感した。全微分の理解をイメージで補強できたことで、より高次元のイメージの追い付かない全微分についても理論的な理解を受け入れやすくなったように思う。

私は紙工作をする際に班員にサラッと山折りと谷折りと谷折りのことを聞いていたが、かなり恥ずかしいことを聞いていることに気がついた。(これでもう忘れないと思います...(笑)。)

全微分は、定義のところまでは分かっていたが、黒板に三次元のイメージを描かれると正直、さっぱりわからなかった。紙工作によって、立体にしたことでdfが何を表しているのか、どの部分に対応するのかをイメージとしてつかめたと感じる。

今日の授業を聞いて頭で覚えていた式に明確なイメージを持つことができて自分の中で学びが深まりました。自分の中では工作で全微分を表すことができるのが驚きだったけれど、実際に作ってみるとdfをイメージすることができてすごいと思いました。 一番イメージがわかったのは近似で今まで近似は教科書に書いているままに計算していただけだったけれど曲面を平面で近似するという言葉がすごい腑に落ちました。

立体を見るまでは、軸がどの方向を向いているのかなどがわからなかったが、工作してみて、x軸とy軸の位置関係や、xの偏微分とyの偏微分を足し合わせたときの高さなどがよくわかった。そして、全微分は曲面を平面で近似することで、その近似した平面は平行四辺形になるということをしっかりと理解できた。全微分は、定義(文字)で理解できていたが、さらにイメージがプラスされたことで、全微分に対する抵抗がなくなった。

今回の授業で2変数の全微分を紙工作を用いてイメージで理解することができた。イメージはとてもわかりやすい反面、これが3変数、4変数になるとイメージでの理解ができなくなってしまい、イメージの欠点も同時に理解した。

対面授業で毎回知らない人に出会っている。もう対面授業がないかもしれないというのが悲しい。また対面授業をしたい。

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コロナの隙間を突いて対面授業(1)

 コロナが下火になってるので, 今がチャンスと思い, 先日(2021/12/06), コロナ禍発生以来はじめての教室での対面授業を実施した。筑波大学生物資源学類1年生の「基礎数学」の授業。受講者約90人の中の, 50人くらいが出席してくれた。

 これは数学の授業ではあるが, 毎年「物理学」の授業の最初にやっていた, 黒板にチョークでデカく運動方程式を書くというのをまず実施した。このインパクトは画面では出せまい。大学の講義の基本は黒板にチョークである!! 続いて, スマホや楽器(TAのウクレレと受講生のフルートとクラリネット)で音を鳴らして波形とスペクトルを観察するという実験をやった。それ数学じゃなくて物理じゃん, というかんじだが, 私の中ではそこにこだわりはない(笑)。だって線型代数やフーリエ解析ってこういうことのためにあるんだもん。学生の評判は上々だったが, マスクしながらしゃべるのはしんどい(泣)。以下, 学生のコメントの抜粋:
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対面授業は「The 大学生!」という感じがして、とっても楽しかったです!部屋で1人悲しく動画を見て授業を受けるよりも、今日のような対面授業でみんなと会って授業を受けられる方が楽しいし話し合いもできて、いいなと思いました!また、対面授業ができるのであればしていただきたいです!!

大学に入学してから座学の対面授業は基礎数学が初めてであったため、新鮮だった。先生の問いかけに対して受講生のリアクションがあるという空間は授業を受けているという感じがすごくした。

自宅からつくばまで遠く、さらに2限がリアルタイムであるため今回の対面の授業は受けないという判断をしました。友人に感想を聞くと面白かったととても好評であったので何とかしていけばよかったと後悔しています。

対面授業だとやはり身の入り方は異なり、とても楽しかったです。オンデマンドだと基本一人で、授業を受けて課題をこなすことになるので、学ぶ内容が興味の湧くものでなければ面白いと感じる瞬間はあっても楽しいと感じる瞬間はあまりありません。しかし対面授業ではみんなと学ぶことができるので終始楽しく、また気軽に小さな疑問をも仲間に相談でき他ので、より効果的に学ぶことができ、学習意欲も上がりました。

今日の対面授業では授業全体のうち、かなりの時間、班で実験に取り組んでいて、楽しみながら真剣に聞くことができました。特に、自分で声を出しながら、波の間隔が一定になっていることや音の高さによって周波数が移動するのを確認したのが面白かったです。楽器を用いて波を確認したのも、きれいな波が描かれているのを見て、すごいと感じました。また、うなりを確認したのも面白かったです。

ここ最近、オンライン授業は楽なので、このままオンライン授業が続く状況でもよいかなと思うこともあったが、対面授業はもう一度聞くことができないという緊張感があったり、友人と直接話し合いできることでLINEや通話のやり取りより意義のあるものになったり、新たな交友関係ができたりと良い点ばかりであることに気付いた。

やはり実際に何かをやる(つまり直接自分の体で体験するということ)というのは大事だということがよくわかった授業でした。まず記憶の残り方がオンラインでパソコンの画面を通して話を聞いている時よりも格段に良くなりました。次にいろんな疑問が対面授業の方が沸いてきやすかったです。これは、あくまで私の推測なのですが、おそらくオンラインだとどうしても受動的に授業を受けてしまうためだと思います。

黒板がある教室にみんなで集まって先生の話を聞くことができてとても楽しかったです。実際に先生が目の前にいる緊張感、周りに友達がいる緊張感、巻き戻せない緊張感を、久しぶりに感じました。コロナ対策で席と席に間はありましたが、クラスが違う初対面の人と話したり、他の人の様子を見たりすることができました。

マスクを着けたまま授業をするのは先生が大変だとは思いますが、ぜひ対面で授業をしていただきたいです。

対面授業では対面の良さを圧倒的に感じた。どう考えてもグループワークがやり易く、これ以上にないほど楽しいものだった。

今まで対面授業はめんどくさいという印象しかなかったが実際に受けてみると対面授業ならではの受講者の一体感みたいなものを感じられてよかった。対面授業とオンデマンド授業それぞれの良さを学ぶことができた。また、知らない人と積極的に関われることが大事だと感じた。

私はもとは対面に行くつもりがなかったのですが班員が皆対面に行くと聞いたため行くことを決めました。また、授業で得たことは奈佐原先生が思っていた以上にユニークで話しやすそうだということです。

初めての対面授業でオンデマンドで受けるより奈佐原先生の熱意を肌で感じることが出来て良かった。毎回対面というのは自分の中で大変ではあるなと思うが、これからも何回かは対面授業があると、自分にとってもいい刺激となるし、何よりコミュニケーションをとって行う授業は楽しいので是非やって欲しい。

これまで実験や実習では大学での授業があったが、今回のように広い教室で座学での授業は、初めてだったので、とても新鮮だったし、いつも画面越しで見ている奈佐原先生とリアルでお目にかかれて、さらにずっと気になっていた、でっかい F = ma が実演されて、感動しました(笑)

初めて対面で基礎数学の授業を受けてみて、率直に「楽しい!」という感想を抱いた。もう終わりなの?と思うほどにあっという間であったし、非常に充実した授業時間であった。今まで受けてきた基礎数学の授業の中で一番楽しかった授業であるとともに、一番主体的に考え、記憶に残る授業であったと思う。移動せず、自分のペースに合わせて視聴できるオンデマンド型の授業にも利点はあると思うが、今回初めて対面の授業を受けてみて、基礎数学は対面の授業をもっと受けてみたいと感じた。先生が作り出してくださる雰囲気やそれにリアクションする仲間の様子を感じられる点がとても良いと思った。また、仲間とすぐに目を見て話し合えることも対面の利点であり、学びが深まると感じた。ぜひ、また対面の授業を実施していただきたい。

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