2004年1月
難聴児における動詞の産出傾向 : 文脈による意味の限定の観点から
特殊教育学研究
- ,
- 巻
- 41
- 号
- 5
- 開始ページ
- 455
- 終了ページ
- 464
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 研究論文(学術雑誌)
- DOI
- 10.6033/tokkyou.41.455
- 出版者・発行元
- 日本特殊教育学会
類似した意味をもつ動詞の一群には、さまざまな対象に用いることができ、文脈の制約が緩い動詞(包括動詞)と、特定の対象にのみ用いられ、文脈の制約が厳しい動詞(限定動詞)があると考えられる。ここでは、聴覚障害児がこれらの動詞をどのように産出するかについて健聴児との比較を通して検討した。その結果、聴覚障害児は健聴児に比べ、包括動詞の産出数に顕著な違いはみられないが、限定動詞の産出数は少なく、ある文脈において包括動詞を産出する傾向が強いことが明らかとなった。また、各課題の特徴から、限定動詞の産出が多い課題は健聴児と一致する傾向がみられる反面、一部の課題については健聴児よりも限定動詞の産出が顕著に少なかった。このことから、聴覚障害児における限定動詞産出の脆弱さは発達的な遅れのためだけではなく、動詞にかかわる聴覚障害児特有の要因が影響を及ぼしている可能性が示唆された。
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.6033/tokkyou.41.455
- ISSN : 0387-3374
- CiNii Articles ID : 110006785812
- CiNii Books ID : AN00172513