講演・口頭発表等

2007年3月

マルグリット・デュラス『大西洋の男』をめぐる可視性と不可視性について

日本フランス語フランス文学会関東支部大会
  • 関 未玲

記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
日本フランス語フランス文学会関東支部
開催地
筑波大学

デュラスは1981年に映画『大西洋の男』を制作し、翌年同名のタイトルで脚本を出版している。視覚的効果のより低い書物という形で可視性と不可視性の問いを扱ったテクストは「見る」ことを巡る弁証法がいかにエクリチュールと深く関わっているのかを端的に表していると言える。語り手は「あなたの不在」について映画を撮る。スクリーン上では不可視な存在である「あなた」が、オフの声で挿入される「私」のナレーションを通して保証されることで、観客は自らの視覚と、物語の乖離を迫れる。本発表では可視性が、常にこれを肯定し続ける不可視のオフによって、逆説的ながら支えられていることを明らかにしている。