2016年8月9日
「のだ」の拡張的使用―自己防衛の柔らかな言語表現化「のかなと思います」―
第14回日本語教育研究集会
- 開催年月日
- 2016年8月9日 - 2016年8月9日
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 口頭発表(一般)
- 主催者
- 名古屋大学大学院国際言語文化研究科
- 開催地
- 名古屋大学大学院国際言語文化研究科
報通信手段の発達した現代社会において、近年、不特定多数の相手に対し不用意な発言を行うことを避け、反感や批判を招くなどのトラブルが生じる可能性を回避するなど、「相手への配慮」というより、むしろ「自分を守る」意図で使用されるようになっているのではないかと考えられる言語表現が観察される。意見表明や感想・コメントに用いられる「かなと思う」もその一つである。ここでは、さらに「のかなと思う」という表現に着目し、そこには、事柄の既定性を基盤に、聞き手との間に擬似的な話題共有空間を構築するという表現意図が観察されることを指摘した。これは、自身のコメントに「かな」によって独話的な位置付けを与えつつ、「のだ」によりそれが一方的な発言ではなく、何らかの背景事情を述べようとしたものであるということが示されるという表現形式であると考えられる。