2020年4月 - 2023年3月
経営者予想誤差の持続性と実物投資の効率性に関する研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
今年度は、経営者予想誤差を生じさせる要因を、将来を予測する経営者能力の観点から先行研究をもとに考察した。まず、企業行動の成果を規定する要因にはさまざまなものがあるが、そこには当然経営者の個人的な資質が含まれるはずである。日本ではいわゆる経営者の市場が発展していない状況なので、経営者の能力を報酬の多寡といった指標から判断することは難しい。企業が競争力を高めるためには、他企業よりも優れた経営者を確保する必要があるが、経営者の能力を定量的に把握することができなければ、有能な人材の確保は困難である。
周知のように、経営者の能力には、実物投資の将来における収益性を的確に予測する洞察力が含まれると考えられる。このとき、将来予測の正確性を担保するためには、何よりも有用な情報を取捨選択して予測に役立てる技術が必要とされる。情報処理の巧拙が実物投資の成否を左右することに鑑みれば、情報を効率的に活用する能力の高さは、経営者が優れた資質を備えていると評価されるための十分条件となる。他方で、事業環境の不確実性も企業から発信される情報の正確性に影響するため、経営者の情報処理能力をいかに測定すべきかという問題に直面することになる。
このような問題意識をもとに、経営者能力を観察可能な会計情報からどのようにして評価することができるかを、先行研究の成果をもとに検討した。そこでは、①経営者能力を企業の属性からいかに分離して把握するか、②経営者能力と情報処理能力の間の関係をどう考えるか、の2点が問われた。特に、会計情報の質には将来事象に関する見積りと測定の正確さが反映されるから、会計情報をもとに経営者能力を評価する際には②の視点が重要となる。そこに掲げられた経営者能力の測定値から、今後の実証研究の課題を明らかにした。
周知のように、経営者の能力には、実物投資の将来における収益性を的確に予測する洞察力が含まれると考えられる。このとき、将来予測の正確性を担保するためには、何よりも有用な情報を取捨選択して予測に役立てる技術が必要とされる。情報処理の巧拙が実物投資の成否を左右することに鑑みれば、情報を効率的に活用する能力の高さは、経営者が優れた資質を備えていると評価されるための十分条件となる。他方で、事業環境の不確実性も企業から発信される情報の正確性に影響するため、経営者の情報処理能力をいかに測定すべきかという問題に直面することになる。
このような問題意識をもとに、経営者能力を観察可能な会計情報からどのようにして評価することができるかを、先行研究の成果をもとに検討した。そこでは、①経営者能力を企業の属性からいかに分離して把握するか、②経営者能力と情報処理能力の間の関係をどう考えるか、の2点が問われた。特に、会計情報の質には将来事象に関する見積りと測定の正確さが反映されるから、会計情報をもとに経営者能力を評価する際には②の視点が重要となる。そこに掲げられた経営者能力の測定値から、今後の実証研究の課題を明らかにした。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K02029
- 体系的課題番号 : JP20K02029