講演・口頭発表等

2022年6月11日

ICPC(International Classification of Primary Care Second Edition)-2を用いたプライマリ・ケアにおける医療ニーズの検討

第13回日本プライマリ・ケア連合学会学術大会
  • 前野貴美
  • ,
  • 横谷省治
  • ,
  • 大澤, 亮
  • ,
  • 吉本, 尚
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  • 前野哲博

開催年月日
2022年6月11日 - 2022年6月12日
記述言語
日本語
会議種別
口頭発表(一般)
主催者
日本プライマリ・ケア連合学会
開催地
横浜

【背景】限られた資源を有効活用し、地域における医療の質の向上を図るには、プライマリ・ケアで提供されている医療を把握して医療サービス提供体制の構築に役立てるためのデータの活用が欠かせない。
【目的】プライマリ・ケアにおいて日常的によく見られる健康問題の実態を明らかにし、プライマリ・ケアにおける医療ニーズを明らかにする。
【研究デザイン】横断研究
【対象、セッティング】2020年6月~7月にK家庭医療センターを受診した外来患者を対象とした診療録調査
【主たるアウトカム指標】プライマリ・ケアにおける健康問題の分布
【統計解析方法】診療録のプロブレムリストに挙げられた健康問題をICPC(International Classification of Primary Care Second Edition)-2を用いてコード化した。
【結果】対象期間に対象施設を受診した1139名を解析対象とした。対象者の属性は新患75名(6.6%)、再来1064名(93.4%)、平均年齢54.4歳(0-98歳)、男性476名(41.8%)、女性663名(58.2%)であった。調査期間に発生した新たな健康問題は525件で、臓器別ではR
(呼吸器)35.0%、D(消化器)14.9%、S(皮膚)9.1%の順に頻度が高かったが、W(妊娠、育児、家族計画)及びY(男性性器)を除く全ての領域に分布していた。継続的な健康問題は4622件で、K86(合併症のない高血圧症)、T93(脂質異常)、P06(睡眠障害)、A98(健康維持/予防医学)が多く、臓器別ではZ(社会問題)を含むすべての領域に分布していた。年齢相応の検診やピロリ菌除菌後の胃がん検診継続、ワクチン接種を勧めるなどのヘルスメンテナンスや健康教育、グリーフケアや子供の不登校の相談など、社会問題なども幅広くとりあげられていた。
【結論】プライマリ・ケアでは予防や社会問題まで含む幅広い領域の健康問題をカバーしていることが示唆された。地域住民の健康な暮らしを支えるには、臓器別の横断的な知識のみならず予防を含めた幅広い領域に対応することが必要であると考えられた。