2019年3月
TAT物語の特徴と分析・解釈の要諦
中京大学 心理学研究科・心理学部紀要
- 巻
- 18
- 号
- 1
- 開始ページ
- 39
- 終了ページ
- 44
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- 中京大学
本稿は,従来の分析方法を通して浮かび上がるTAT物語の特徴を検討するとともに,鈴木(1997)によって提案された物語分析法の意義を説明することを目的とした。TAT物語はゲシュタルトとしての性質を有するため,物語内容を要素に分解する従来の方法を適用すると,物語が内包する意味を損なうことが示唆された。さらに,物語という反応はすぐれて内容分析的な志向性を持っているため,形式分析のみではその意味を十分に捉えきれないことも示された。それゆえTAT物語の分析に際しては,物語を要素に分解することなく,その主題と筋(すなわち,物語の内容)に焦点を当てる必要があると考えられた。この観点に基づき,鈴木の提唱した物語分析の方法を効果的に用いる方略を議論した。
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