2018年
脳組織水分移動モデル
生体医工学
- ,
- 巻
- 56
- 号
- 0
- 開始ページ
- S304
- 終了ページ
- S304
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- DOI
- 10.11239/jsmbe.Annual56.S304
- 出版者・発行元
- 公益社団法人 日本生体医工学会
<p>近年、脳蘇生治療の効率化のために脳の生理学的状態自動制御システムの開発が期待されている。その開発では、医療倫理の観点から、脳の生理学的状態の数理モデルを対象とする制御シミュレーションが不可欠である。本研究では、脳の解剖学的構造を考慮して脳組織水分移動モデルを構築し、その妥当性の検証のためにモデルの解析を行う。構築したモデルでは、脳組織を右脳と左脳、前、中、後の各大脳動脈支配領域、及び灰白質と白質の違いでコンパートメントに分割した。これに脳室とクモ膜下腔を加えて、合計14つのコンパートメントをもつ。そして、各コンパートメントの圧力、体積、膠質濃度と、各コンパートメント間の流量を求める方程式を導出し、Visual Studio にてC言語で数値解析プログラムを作成した。モデルの解析は、A正常状態、B毛細血管の圧力が高い場合、C毛細血管の圧力が低い場合、D毛細血管の膠質濃度が高い場合、E毛細血管の膠質濃度が低い場合、F脳室とクモ膜下腔間の水力学伝導係数が低い場合、の各条件にて行った。その結果、Aの場合と比較してBとEの場合には毛細血管からの流量、組織圧、脳室の体積が増加した。一方、CとDの場合には毛細血管からの流量、組織圧、脳室の体積は減少した。Fの場合には脳室の圧力と体積が増加し、クモ膜下腔の体積が減少した。したがって、構築したモデルは脳組織水分移動を妥当に表現できるといえる。</p>
- リンク情報
- ID情報
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- DOI : 10.11239/jsmbe.Annual56.S304
- ISSN : 1347-443X
- CiNii Articles ID : 130007483821