その他

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  • これまでの研究により,抗リン脂質抗体はリン脂質に直接反応するのではなく,酸性リン脂質に結合することにより構造変化を起こしたβ2-グリコプロテインⅠ(β2-GPⅠ)およびプロトロンビン分子上に新たに発現するエピトープを認識して結合する抗体であることが示されており,代表的な抗リン脂質抗体として抗カルジオリピン/β2-グリコプロテインⅠ抗体(抗CL/β2-GPI抗体)や抗フォスファチジルセリン/プロトロンビン抗体(抗PS/PT抗体)があげられる.<br> <br>1.抗リン脂質抗体による血栓形成機序を解明するため,SLE患者血漿より精製した各タイプの抗体を含有するIgG fractionを用いて,血小板活性化機構に対する促進作用と活性化プロテインC (APC)系血液凝固制御機構に対する阻害作用をIn vitroの実験において検討した.その結果,抗CL/β2-GPI抗体と抗PS/PT抗体が共存することにより,低濃度ADPなど他の因子による可逆性の血小板活性化が明らかに促進させることを確認し,この血小板活性化促進作用が動脈血栓形成の重要な要因となることを見出した.また,抗CL/β2-GPI抗体と抗PS/PT抗体は間接的に,プロテインSに対する抗体は直接的にAPCの抗凝固活性を阻害することにより後天性のAPC-resistance 反応を引き起こすことを確認し,この阻害作用が静脈血栓塞栓の一つの病因となることを明らかにした.<br> <br>2. SLE患者を対象にAnkle Brachial Pressure Index (ABI)および動脈造影等画像診にて臨床検討を行った結果155例中25例 (16.1%) で閉塞性動脈硬化症を認め,抗CL/β2-GPI抗体がSLE患者に多発する閉塞性動脈硬化症の発症に強く関連していることを明らかにした.さらに,SLEに関連する閉塞性動脈硬化症の病因として,抗CL/β2-GPI抗体が単球表面の組織因子の発現を亢進させることにより組織因子依存性の凝固反応や炎症反応を増幅させ,アテローム性動脈硬化病変の伸展を促進する可能性を見出した.そして,抗CL/β2-GPI抗体により惹起される閉塞性動脈硬化症が狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患を引き起こす極めて重要な危険因子となることを明らかにした.<br>現在、抗リン脂質抗体によるアテローム性動脈硬化症の発症機序をさらに詳細に解明することにより、脳血管障害や虚血性心疾患の病態把握・早期発見につながる新たな病態マーカー検査法の確立を目指して研究を進めている.<br> <br>3.本研究では、救命救急医療に携わる看護師・医師20名および保健学科教員および学生20名を対象に、(1)酸化ストレス度測定、(2)ELISAによる血中Fatigue factor関連蛋白の定量、(3)唾液中のアミラーゼ・分泌型I